『第466話』 1日1回服用の抗菌剤開発

抗菌剤は、その効果を十分に発揮させるために、抗菌剤成分の血液中濃度を一定に維持していく必要がある。

通常の薬は1日3回といった指示だが、抗菌剤の場合には6時間ごといった指示があるのもこのためだ。

また、症状が改善されてくると抗菌剤の服用を中止してしまう人がいるが、その抗菌剤が効かない耐性菌の出現、感染症の再発や重症化も考えられ、症状が軽減すれば服用を中止してもよいという薬ではない。どの時点で服用を中止してよいか主治医に確認しておく必要がある。

今まで、抗菌剤の服用に関してはこうした説明でよかった。しかし、最近開発されたマクロライド系抗生物質、アジスロマイシンの服用方法は違う。「1日1回、3日間服用してください」というものだ。3日間の服用でその効果が1週間持続する。

食事の影響を受けないので、飲み忘れがないと考えられる都合の良い時間に、24時間ごとに服用する。

しかし、しっかりと説明を聞かないで、3回服用してしまい、1日で飲み切ってしまうようなことになれば、急激に血液中の濃度が上昇して、副作用の発現を招きかねない。

アジスロマイシンは肺や扁桃腺(へんとうせん)などへの組織移行性が高く、その濃度が血液中の20倍以上になる。また、好中球やマクロファージなどの食細胞に取り込まれやすく、これが感染部位に遊走することで、効率良く長時間にわたって抗菌効果を発揮する特徴もある。

こうした特徴を知らないで服用した場合、3日間の服用で飲み終えるために、症状がまだあるのに薬がないといった不安を訴える可能性もある。

当然、この薬を飲み終えても症状があれば解熱鎮痛剤等の対症療法用の薬は飲み続けていく必要がある。

昔のように1日3回食後といった薬だけではなくなっている。朝食後1回、1日2回朝夕食後、就寝時のみなど多くの薬が複雑に絡み合った服用時点で示される。薬の特徴を把握し、「おくすり手帳」に記録した服用時点を確かめて、正しく服用したいものだ。