『第467話』 お薬手帳を利用しましょう!

『第467話』お薬手帳を利用しましょう!

第467話』お薬手帳を利用しましょう!

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病気を治療するためには、薬のことをよく知って、正しく服用することが絶対条件だ。また、病気の成り立ちや症状が出る仕組み、あるいは検査データの読み方についても勉強しておく必要がある。

薬に関しては、薬局で「お薬手帳」を渡し、これに詳しい内容を書き込むか、薬の写真とその内容を印刷した資料を張って、説明するようになってきた。

「お薬手帳」の利用は、6年ほど前までは一部の薬局や薬剤師会、消費者や市民団体が取り組んできたもの。全国的な広がりを見せたのは東京大学付属病院、鹿児島大学付属病院、大阪大学付属病院が取り組み始めてからだ。その間、患者さんからの聞き取り調査結果などからさまざまな改良が加えられて現在に至っている。当時の情報提供内容は処方内容をタッグシールに印刷したものを渡して張ってもらうものだった。

その後、平成8~9年にかけて「高齢者への服薬指導情報に関する研究」という厚生科学研究によって、お薬手帳の有用性が証明され、全国的に普及し始めた。

処方せんを発行するということは医療情報を開示するということだ。しかし、その内容が分からなければ意味がない。また、お話をしても口頭では忘れてしまう。

高齢者では、各臓器の機能障害の程度によって薬の効果や現れ方が違ってくる。多くの疾病を抱え、長期にわたって複数の診療科や医療機関にかかることも多くなってきた。「お薬手帳」の機能を利用することで、過去から得られた自分自身の情報が総合的にまとめられて記録されるとともに、個々の医療機関から得られた情報が散逸してしまうことがなくなる。

患者さんからのアンケート調査結果から▽一人暮しなので何かあったときに助かる▽旅行したときに携帯して万が一に備える▽話ができなくても周りの人に分かってもらえる-など緊急時の対応に利用している例もみられる。

「お薬手帳」を所持することは、病気や治療薬に興味を持つきっかけにもなっているようだ。患者本位の医療が叫ばれているが、これは患者自身が医療の主体者になることにほかならない。

お薬手帳を持って積極的に医療に参加することが必要だ。