『第476話』 子供の熱性けいれん

 子供の脳は高熱がでると興奮して全身のけいれんを起こすことがある。n 子供の10~20人に1人がこの熱性けいれんを起こすといわれる。一度けいれんを起こしても高熱の度に繰り返すわけではなく、3回以上再発する子供は全体の30%以下となっている。n 熱性けいれんを繰り返したり、保護者の不安がつよいときには解熱剤とけいれん予防の薬を同時に処方することがある。n けいれん予防としてよく使われるのはジアゼパムという成分で、大人でも不安、緊張時に精神安定剤として使用される。肩凝りや筋肉のこわばりも和らげるので、腰痛や肩凝りなどでも使用される。n 体重が20キロ以下の子供には座薬の形で出される。解熱剤の座薬と一緒に出されたときはけいれん予防の方を先に使う。n 熱が37.5度以上になったらジアゼパムの座薬を肛門に入れ、30分後に解熱剤を入れる。同時に入れるとジアゼパムの吸収が妨げられ、けいれんを予防できないときがある。n 約8時間後に再度熱を計り、38度以上の熱が続いていたら2個目のジアゼパムの座薬を入れる。n 2個目を使用したら、あとは高熱が続いていても使用せず、受診して医師の指導を仰ぐ。n 6カ月くらいの間に熱性けいれんを繰り返す場合には抗けいれん薬と呼ばれる薬を一定期間服用する必要がある。n 抗けいれん薬はてんかんを治療する薬でもある。てんかんは、脳の神経細胞が突然過剰放電を起こし、手足をカクカクさせたり、急に意識を失うなどの発作が複数回起きる症状をいう。n 子供や赤ちゃんの場合、原因不明の特発性てんかんによるけいれん発作であることが多い。n 抗けいれん薬は暴れている神経細胞を抑え込むので、飲み始めのころ、ぼーとしたり、ふらふらしたりする。n またこの薬は毎日服用する必要があり、脳波が正常になってからも最低3年ほどは飲み続けなければならない。n 飲む時間や量をきちんと守る必要もあり、子供たちが飲みやすい工夫が必要だ。n ジュースに混ぜたほうがいいものやアイスクリームやヨーグルトの方がいいものなど薬の種類によって異なるのでかかりつけ薬局で相談してみてほしい。n