『第490話』 花粉症の予防治療は早めに

春一番を恐れている人がいる。花粉症に悩んでいる人だ。寒い冬の後に暖かい春が来ることはありがたい。しかし、その春到来をもたらす春一番とともに、スギ花粉やヒノキ花粉もやって来る。

気象庁によると、春一番の定義は立春から春分の間に日本海で低気圧が発達し、初めて毎秒8メートル以上の南よりの風が吹き、気温が上昇した場合のことを言う。この発達して日本海を通り抜ける低気圧は、一般的に「春の嵐」や「フェーン現象」を引き起こすことでも知られている。日本海側では気温が上がり、空気が一段と乾燥することになるが、これが粘膜を乾燥させ、強い刺激を与えて花粉症の症状をさらに悪化させる。

秋田県では3月10日ごろから春分の日(20日)ごろまでにスギ花粉前線がやって来る。その1ヵ月後はヒノキ花粉前線の到来だ。

目がくしゃくしゃして鼻水が止まらない。経験者でなければそのつらさは実感できない。防御策はとにかく、花粉にさらされないように努力するしかない。防護眼鏡、花粉用マスクなどの利用、花粉情報を利用して外出を控えたり、外出後は服に付いた花粉を持ち込まないように外でよくはたいて着替えるなどだ。

毎年苦しんでいるのであれば、そろそろ治療を開始する準備が必要だ。抗アレルギー剤の治療効果が発揮されるまでに2週間程度かかるからだ。従って、花粉が飛び散る2週間前から抗アレルギー剤の点眼薬などを使う季節前投与で症状を軽く済ませる予防治療があるので、眼科または耳鼻咽喉科に相談してもらいたい。

症状が強い場合には、ステロイド薬の点眼剤や抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の内服が必要となる。目がかゆいからといってこすると、感染症を招くことにもなり、症状はさらに悪化する。ぬれタオルで目の周辺を冷やして炎症を静めるなどの対症療法がよい。

花粉症に悩んでいる人は、天気図や花粉情報をうまく使って、この時期を乗り越えてもらいたい。