『第682話』 【改正薬事法】医薬品や機器に新区分

新年度を迎え、気持ちを新たにしている人も多いことだろう。薬剤師も1日から改正薬事法が施行されて医薬品、医療機器の法律的な取り扱いが大きく変わり、頭の中を切り替えているところだ。

医薬品には、医師の処方によって使用する医療用医薬品と、薬局・薬店で販売されている一般用医薬品がある。一般用医薬品は大衆薬、またはカウンター越しに服用時の注意や副作用を説明して販売するのでOTC(オーバー・ザ・カウンター)薬ともいう。

日本では医薬品供給時に服用時の注意などを説明することが求められているが、この基本が崩れかけているのも事実で、基本に立ち返ることが薬剤師に求められている。欧州の薬局では、大衆薬を含めすべての医薬品はカウンターの奥に置いてあり、一般の人が手にすることはできない。

一方、米国は医療費が高く、医療保険に加入していない人もいて、OTC薬やサプリメントに頼る傾向がある。背景に国情の違いがあることが理解されず、あたかもサプリメントで疾病が治るかのような情報だけが日本に持ち込まれ、本来受けるべき治療の機会を逸する可能性があるのではないかと心配されている。米国では自己判断で薬が使われるため、鎮痛剤の乱用による被害者が続出し社会問題となっている。

旧薬事法には、この医療用医薬品の中に要指示医薬品という分類があった。要指示医薬品は医師の指示、または処方せんが必要な医薬品をいう。これ以外の医薬品は、薬局で販売することが可能だった。しかし、成分ごとの危険度が明確に分類されていなかった。中には医師の指示によって使用すべきと考えられる医薬品成分もあり、これらを整理して、要指示医薬品という区分を廃止し、新たに処方せんがなければ使用できない医薬品群として、処方せん薬という分類を設けた。

医療機器についても医療用具という名称を廃止し、高度管理医療機器(コンタクトレンズ、血糖測定器など)、管理医療機器(電子体温計、補聴器など)、一般医療機器、特定保守管理医療機器という区分になった。角膜と常時接するコンタクトレンズは健康に重大な影響を与える恐れがあるとして、除細動器などと同様の取り扱いになっている。販売するには許可が必要で、安易には取り扱えなくなった。高度管理医療機器などによって問題が生じた場合には、報告と回収、そして原因究明が義務付けられている。

このたびの薬事法の改正は医薬品、医療機器をより安全に取り扱い、薬害や医療機器による被害を未然に防ごうとする内容になっている。