『第677話』 【副作用の危険】十分な説明受け把握を

ある関節リウマチ治療薬による死亡事例が大々的に報道されたことから、「ほかの薬は大丈夫なのか」といった問い合わせがあった。ほとんどの経口薬は排せつ経路にあたる腎臓や肝臓に何らかの影響を与えるが、その程度には違いがあり、すべての薬について心配をする必要はない。しかし、気を付けておかなければならない薬については確実に医薬品情報を入手し、使用法について医師や薬剤師の指示に従う必要がある。

薬局で、薬剤師がさりげなく血圧、血糖値、中性脂肪、尿酸値、卜ロンボテスト値、2カ月程度の平均的な血糖状態が分かるHbA1c、筋肉の細胞がどれぐらい壊れたかを示すCPKなどの臨床データを話題にすることがある。そうして聞き取りしたデータから副作用が起きているか、薬をしっかり服用しているか、薬物治療の効果が得られているかなどを確認している。

時として、定期的な検査データが得られていない場合には「検査をしてくださいって、主治医に話してね」と声を掛けることもある。検査をしていないのは、主治医が悪いとは言い切れない。例えば医薬品の説明書に、月1回は臨床検査をするように書かれている薬がある。しかし、検査をすれば費用がかかる。検査はしたいが患者さんの費用負担を考えると、もう1カ月先にしようかとなる。

検査の必要性があるか、あるとすれば副作用の早期発見のためにはどの程度の間隔で検査すべきか、また自己負担額がどの程度になるのかといったことについて、主治医から説明を受けておくのが望ましい。

薬剤師は注意を喚起するために、患者さんが服用している薬について、同じ情報であっても何度も提供するようにしている。しかし、あらためて確認すると薬の名前すら覚えていない人が多く、残念に感じることも多い。

副作用の痛みを大衆薬の鎮痛剤で紛らわせていた例や、副作用に乳汁分泌が起こる薬を服用していて産婦人科を受診した例など、患者さんの何げない話で慌てることもしばしばだ。

薬を適正使用するには、医療提供側が患者個々で異なる理解の程度に合わせ、必要な情報をさまざまな角度から提供して理解を深めてもらうように努め、患者は医療提供側と共通の認識を持つように心掛けることが肝要だ。