『第675話』 【室内の加湿、換気】乾燥と細菌の増殖防ぐ

暖房の欠かせない冬期間、室内は換気が悪くなりがちで、乾燥する。最近の家屋は密閉性が高く、外気がほとんど入らない構造となっているために、かえってその傾向が強まっているようだ。

湿度とは、ある温度の空気中に含むことができる最大の水蒸気量に比べて、どの程度の水蒸気が含まれているかを示す相対湿度(以下、湿度)で表現する方法が一般的だ。適正な湿度は40~70%。この水蒸気が含まれる量は、温度によって相当に違いがあるために、外気と触れているガラス窓では結露が生じ、室内の水蒸気量が減るといったことも起こってくる。

湿度を確保するには加湿器の利用が簡便だが、最近は超音波加湿器が姿を消し、加熱式のものがほとんどだ。その理由は、水道水中にはマグネシウムイオンやカルシウムイオンがあって、これが不揮発性のために空中で塩の形となり電気製品に付着するとショートして、壊れてしまう原因となるからだ。

超音波加湿器を利用したいのであれば、薬局で水以外を含まない蒸留水(精製水)を購入して加湿用水として使う。ただし、費用がかさむので実用的とは言い難い。

もう一つ、冬の室内環境を管理するポイントに換気がある。多くの人が働く職場や学校では、衣服や呼気などから細菌が放出されている。これが充満し、増殖する。あるいは200種類以上あるといわれている各種の細菌やウイルスを吸い込んで、風邪などの呼吸器疾患を引き起こすことにもなる。

換気で困るのは、室内温度が下がってしまうことだ。昼食時など、あまり人がいなくなったときに窓を数十分間開けたり、窓を常に4~5センチほど開けておくといった工夫をして換気に努めてもらいたい。

換気を行うときには、吸気と排気のバランスを考える必要がある。単に窓を開けただけでは駄目で、室内に十分な.外気を入れるには、その対角線上に排気するための室内空気の出口を設けることが必要だ。こうして汚染された空気と新鮮な空気を入れ替えて、呼吸器疾患の予防に努めてもらいたい。