『第647話』 【紫外線対策】サンケア商品を上手に

2004年6月21日、日本標準時の午前9時57分に太陽が黄経90度の位置に来る。これは、天文学的に表現した夏至のことだ。夏至は昼間の時間が最も長くなる。本県では、午前4時13分の日の出から午後7時10分の日没まで14時間57分にもなる。日中の太陽が最も高くなるのは前日の20日で、午前11時41分に水平線に対して73.68度まで昇る。

このような理由で、夏至を迎える前の5月から8月にかけてが紫外線(UV)量が最も多くなる時期だ。従って、紫外線予防対策は今から始めておく必要がある。

紫外線は、その約9割を占めるUV-Aのほか、UV-B、UV-Cの3種類に分かれ、それぞれ特徴がある。

このうちUV-Cは、オゾン層で吸収されて地上に届かない。もし届くようなことがあれば、DNAに決定的なダメージを与えるので地上の生物は絶滅する。通常のガラスはUV-Aを通すので、紫外線を防ぐにはUVカットフィルムなどを張る必要がある。

かつて母子健康手帳には日光浴をさせようという解説があったが、1998年に削除されて外気浴という表現になった。確かに日光浴をさせることで、紫外線を浴び、皮膚下でビタミンD3が合成されて骨の成育を助ける。

しかし、その効果よりも害悪の方が大きい。さらに、曇りの日でも約6割程度の紫外線を浴びていて、1日10分程度で十分なことや魚や卵黄、干しシイタケなどの食品から得られるので日光浴は特に必要ないとなったわけだ。

冬でも紫外線は雪面で反射するために、雪のない地域よりも紫外線量は2倍程度多くなる。高度が高いほど紫外線量は多く、スキー場などでは日焼けする条件が整っているので、さらに注意が必要だ。

UV-Bは、色素細胞(メラノサイト)を刺激してメラニン色素の生成を促す。そして、UV-Aはメラニン色素を酸化して褐色化させる。表皮は約28日で新しい細胞に変わっているので、日焼けも28日たつと消える。しかし、日焼けを繰り返していると皮膚表面にあったメラニン色素が真皮にまで入り込んでしみの原因になる。

また、皮膚の修復が繰り返されることで、しわも深くなる。従って紫外線に当たらないことが、最も効果的なしみやしわを予防する対策となる。とは言っても屋外に出るなというのは無理な話だ。「SPF」や「PA」といった表記のあるサンケア商品を上手に使うことが必要だ。