『第637話』 【禁煙のすすめ】「思い切って」がコツ

 薬局では、生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病など)の予備軍と思われる患者さんに「ことしは思い切ってたばこをやめてみませんか」と勧めている。喫煙はこれらの人に悪影響を与えるからだ。n ニコチンは血管を収縮させるので血圧を上げ、チェーンスモーカーでは血圧が下がる暇がない。血管が収縮すると血液循環が悪くなり、体が冷えやすく、皮膚の老化が進んだりシミも増えてくる。n ぜんそく傾向や肺、心臓に問題を抱えている人は絶対にたばこをやめるべきだ。n 医師と薬剤師の両方から勧められると、にわかに心が動く人も多い。禁煙外来や「禁煙相談応じます」の表示がある医療機関での成功率は高い。ニコチン含有張り薬「通称:ニコチンパッチ」(医師の処方せんが必要)による禁煙プログラムを実行してもらい、失敗しそうになったときには医師や薬剤師がサポートしていく。n 日ごろ、やめなければと感じている人はすでに動機付けができているので成功しやすい。禁煙は、中途半端に本数を減らしたり、軽いたばこに変えるのではなく、思い切って断煙することがポイントだ。n たばこの有害物質は、発がん物質のタールなどだけではない。たばこが不完全燃焼するときの一酸化炭素も問題だ。喫煙すると体内には一酸化炭素の濃度が増え、吸えば吸うほど高くなる。n 一酸化炭素は酸素の300倍も血中ヘモグロビンと結合しやすく、本来、酸素と結合すべきヘモグロビンと瞬く間に結合し、各組織に酸素を供給できなくする。このため息切れ、せき、たんなどの症状がでる。もちろん吸っている人だけではなく、煙にさらされた周りの人も同じ状況になる。n しかも血中の一酸化炭素濃度は、高ニコチンたばこよりも低ニコチンたばこを吸ったときの方が高くなることが知られている。n ニコチン含有張り薬「通称:ニコチンパッチ」は、皮膚からニコチンを少しずつ吸収させて、たばこを吸っている状態を作りだす。数週間かけてその量を少しずつ減らし、体を慣らしていく。ついにはニコチンがなくても平気になるのがこのプログラムだ。n 愛煙家には悪いが、体臭や口臭がたばこ臭い人は敬遠される時代だ。禁煙を希望する人は、まずはやってみよう。n