『第634話』 【インフルエンザ治療薬】「鳥」拡大懸念で在庫調査

 1月30日金曜日午後5時半、県健康対策課と医務薬事課からインフルエンザ治療薬の流通在庫量(薬局等で在庫している医薬品保有量)を調査できないか依頼があった。n 県内のインフルエンザ発生状況は、2月1日現在で、秋田市、大館、本荘、大曲、湯沢保健所管内で警報が発令され、患者数が多くなりつつある。しかし、その依頼理由はすぐに想像できた。鳥インフルエンザの感染拡大が懸念されていて、その緊急体制整備の一環として、県内に在庫されているインフルエンザ治療薬の総量を把握したかったからだ。n 本県は医薬分業が進んでいるため、医薬品が広域に拡散されて在庫されている。医薬品の分散備蓄は、被害を最小限に留め、災害発生地以外の地区から医薬品を素早く搬送・集積できる。n すぐさま、インフルエンザ治療薬として使用するタミフル、リレンザ、シンメトレルについて全県の薬局・病院・医薬品卸にファックス一斉同報網を使って在庫の調査を依頼した。薬局等の反応は素早く、すぐさま回答を返信してきた。翌2日間は土、日曜日だったため、2月2日月曜日に十分な量が確保されていることを県に報告した。n 鳥インフルエンザ(A/H5N1型)は人には感染しない。しかし、全く感染しないのではなく、養鶏従事者や獣医師が直接、鶏の体液や排せつ物と濃厚接触して感染した例がある。これまで、鶏肉、鶏卵の摂取による人への感染例は報告されていない。しかし、人インフルエンザと混合感染することによって、ウイルス遺伝子の再集合が起こり、新型インフルエンザとなって大流行する可能性があり、その可能性例も報告されている。n 現在、人用の鳥インフルエンザワクチンは無いが、治療薬は先の抗インフルエンザ薬が効くと考えられている。n 1月12日には、79年ぶりに山口県で家畜伝染病に指定されているH5亜型A高病原性鳥インフルエンザが発生し、3万5千羽が処分された。n 国民生活金融公庫は、高病原性鳥インフルエンザ関連特別相談窓口を設置して、資金調達に支障が起こらないように対応を始めている。n 感染症は、人への健康被害だけではなく、経済的な被害をも考慮する必要がある極めて深刻な問題だ。n