『第633話』 【乾燥肌】冬場は特にいたわって

 「西高東低」。一般的になった冬の気圧配置を示す気象用語だ。人工衛星から送られてくる写真には、日本海に筋状の雲が現れ、これが次々と日本海沿岸に雪を降らせる。十分に雪が降るということは水蒸気(水分)が除去されるということだ。脊梁(せきりょう)山脈を越えて乾いた空気が太平洋側に流れ込んでいく。n 砂糖が水に溶けるように、空気には水蒸気が溶け込んでいる。砂糖水もある一定量以上の砂糖が溶けなくなるのと同様に、水蒸気もある一定温度下で溶ける量が決まっている。これを飽和水蒸気量という。この量に比較して、どの程度の水蒸気量(水分量)が現在の空気に溶け込んでいるかを比率で表したのが相対湿度で、一般に湿度といわれている数値だ。n 特に関東地方は、本県では考えられないほど毎日晴れて、空気が乾燥している。これを暖房すれば、ますます室内は乾燥することになる。n しかし、雪があるから湿度が高いという訳でもない。寒ければ、絶対的な水蒸気量が少ない。この空気を暖房することになるので、相対的な湿度は下がり、冬の室内はどうしても乾燥する。n 適している湿度は、40~70%。冬はこの数値を維持するのが大変だ。n 肌も同様に、乾燥した空気から守る必要がある。皮膚の角質層に含まれる水分量が重要で、角質層から水分が奪われると乾燥肌になる。n 熱いお風呂に入るといったんは角質層がふやけて水分量は増えるが、一時間もすると以前の水分量を下回ってしまう。このため熱いお風呂や長湯はお勧めしない。n 風呂から上がったら、水分が皮膚から蒸発してしまわないうちに、尿素などが配合された保湿剤を塗る。特に最近は、尿素含有量が医療用とまったく変わらない軟こうやローション剤が入手できる。n せっけんにも注意を払いたい。ニキビ用として使う薬用せっけんは皮脂分を除去する力が強過ぎて、乾燥肌には向かない。少々高価になるがオリーブ油などから作ったせっけんなどを使い、汚れが取れる程度の量で、皮脂分を取り過ぎないようにする。n 多くの入浴剤が出回っているが、硫黄分が多い入浴剤は汗をかく夏向きの入浴剤で、角質層を壊してしまう。乾燥期には、保湿効果のある入浴剤を選択しよう。n 乾燥肌は、ストレスも関係してくる。皮膚が乾燥してかゆみが止まらないのであれば、早めに皮膚科に受診することを勧める。n