『第626話』 【ジェネリック医薬品】効果の違いを見極める

 「テレビで宣伝しているジェネリック医薬品て何に効くんですか?」という質問があった。n しばらく前にも新聞に広告が載っていて、国民が理解を深めていくには時間がかかるだろうと思っていたところだ。n 直訳すれば「一般的な医薬品」ということになるだろう。厚生労働省はこの利用促進を図っている。その理由は、増え続ける医療費を抑え込みたいという思惑があるからだ。n 医薬品開発メーカーが新薬を発売するとこれを「ピカ新」と言ったりする。これが先発医薬品に当たるものだ。数年が経過すると、開発時などに取得した特許の期限が切れる。すると後発の医薬品が発売されてくる。これがジェネリック医薬品だ。n ことしは、日本で開発され全世界で使われている高脂血症治療薬のプラバスタチンナトリウムの特許が切れた。現在、手元にある資料では、すでに22の製薬企業から発売されている。先発品は1錠163.5円するがジェネリック医薬品だと130.8円で、価格差は32.7円になる。この薬は、1日1、2回服用することになっている。仮に1日2回28日分が処方されたとすると、その差は1,831円、保険によって異なるが3割負担だと550円の負担減になる。これは医薬品費だけの計算で実際には医科と薬局でそれぞれ1処方につき20円の後発医薬品に関わる算定費用をご負担いただくことになるが、それでも年間にすると相当の負担減になることは確かだ。n これはほんの1例で、値段が高い薬ほど価格差が大きくなり、金銭的なメリットが大きくなる。n しかし解決されていない問題がある。それは、薬の効果が違うという指摘があることだ。医薬品の効果は体内にどの程度の薬が吸収されたかで判断することができる。このことは生物学的利用率という。これは、最高血中濃度とそれに達する時間、あるいは血中濃度が半分になるまでの時間や血中濃度対時間曲線下面積といって吸収した薬物の全体量で評価できる。これをプラバスタチンナトリウムで比較してみると、最高血中濃度で3倍以上の開きがある。従って、その医薬品ごとに効果が違うことは明らかだ。それも、先発品だからといって、これらのデータが必ずしも良いとは言えない。n 現状では、先発医薬品からジェネリック医薬品に変えたときは、その効果の違いをしっかりと観察してもらうことが必要だと思われる。n