『第603話』 【うがいと手洗い方法】衛生面配慮し効果的に

「学校や公共機関などのトイレで手を洗うしぐさを見ていると、不衛生極まりないと思っている。改善する方法や手を洗うときの心掛けについて知りたい」と、読者から相談があった。

鼻腔(びくう)内でとらえられた汚れ、ウイルスなどの雑菌は咽喉(いんこう)の奥に向かって流れていく。これが長い時間、粘膜に留まれば、ウイルスが細胞内に入り込んで増殖する機会を増やすことになる。

うがい薬=含嗽(がんそう)剤=には、感染症の予防と殺菌消毒を目的としたポピドンヨード製剤と炎症を抑えるアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する薬があるので、目的に応じて使い分けが必要だ。

ポピドンヨード製剤であれば、2~4ミリリットル(正確には3ミリリットル)をコップに入れ、コップ3分の1(約60ミリリットル)まで水道水を加える。これで20倍に薄まる。

うがいの回数は3回で、1回に20ミリリットルずつを使う。最初の20ミリリットルは、口の中の汚れや食べかすを洗うために使い、グジュグジュッと行う。2回目はグジュグジュッとやりながら、15秒間、上を向いて「あ音」の発声をする。そして最後の20ミリリットルを使って、さらに15秒間、上を向いて「あ音」の発声をしてガラゴロッとうがいをする。効果的な1日のうがい回数は4回、3、4時間ごとだ。

手洗いで洗い残しが起こるのがつめのすき間、指の間、指の背部だ。指の間では、特に親指と人さし指の間に洗い残しが起こりやすいので注意したい。水道の取っ手は必ず触るところで、指の汚れが付けば水だけでは落ちないので、不衛生になりやすい。友人の薬剤師は、石けんで手を洗うときに一緒に水栓器具を丸ごと洗い、それから水を止めている。これは普及させたい方法だ。

石けんの管理も重要で、ビニール製の網に石けんを入れて使うのは不衛生だ。石けんには微生物を殺菌する作用はない。できれば、ひじでポンプのボタンを押すと液状石けんが出てくるタイプのものを使いたいところだ。

節水のこともあって、公共施設では洗面所を離れると自動で水が止まる自動水栓が普及してきている。衛生面から考えても積極的に普及させたいものだ。