『第602話』 【新型肺炎対策】消毒液で正しく殺菌を
新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)は衰えるどころか、全世界的な感染域拡大が懸念されている。日本に感染域が広がらないのが不思議なほどだ。
感染症予防対策に消毒の実施がある。消毒剤があっても希釈(原液を薄める)方法がわからなければ無意味だ。さらに、菌種に応じて消毒剤や消毒法を選ぶことも必要だ。SARSのようなウイルスの場合、逆性石けんやクレゾール石けんでは効果がない。ウイルスを殺菌したければ、エタノール消毒液か塩素系消毒液を使用する。
エタノール消毒液は薬局・薬店で買い求めたままの原液で使う。テレビでは専門家が噴霧しているところが映しだされるが、可燃性アルコールなので、火気や、電気がショートした火花で爆発する可能性がある。従って、エタノールを含ませた綿もしくはガーゼでふき取る方がよい。
塩素系消毒剤には次亜塩素酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌール酸、さらし粉などがある。液状の次亜塩素酸ナトリウム溶液は家庭用の漂白剤としても使われていて、医薬品ではないが代用することができる。塩素系消毒剤はその性質から人体には使えない。ウイルスの消毒には0.1%で30分以上作用させることが基本となる。金属に対しては腐食性があり、当然のごとく色物に使用すれば脱色漂白されてしまう。
塩素系消毒剤を家庭で使用する場合には、床・トイレなどは0.05%、ドアノブや窓の取っ手、照明器具のスイッチなどの特に手が触れる部分は0.1%の塩素系消毒液を含ませた布でふき、その後「からぶき」する。消毒時にビニール製手袋をつけて行うことを忘れずに。
SARSコロナウイルスはふん便中で1、2日は安定して生息する。たんやふん便の消毒は、0.1%で30分以上漬ける。
医薬品の塩素系消毒剤は1~10%のものが市販されている。家庭用漂白剤は5%前後のものが多い。5%の原液であれば、この原液1容量に対して99容量の水を加えれば100倍希釈となり、0.05%になる。同様に1に対して49の水を加えれば50倍希釈で0.1%になる。
薬局・薬店ではさまざまな健康関連情報を提供しているので、消毒剤を買い求めたときには、希釈法と使用方法の確認を今一度お願いしたい。