『第601話』 【季節の変わり目】春には目まいなど急増

季節の変わり目に体調を崩す人が多い。特に秋田をはじめとする雪国では春が来ると急に活動的になる人が多いようだが、長い冬眠から覚めたようなものだから無理もない。

しかし、春の訪れは暖かい日と寒い日が交互に繰り返しながらやって来る。1日の中で朝晩と日中の気温が異なる。寒いからといっても戸外でのお花見は欠かせず、山菜が採れ始めれば多少の体調の悪さもお構いなしという人も多いのではないだろうか。

実はこの時期、日中の暖かさに血管が開き血圧が下がってくる。そして夜の低温に血管が収縮して血圧が上がる方向に働く。身体は脳や神経をフル活動させ、血圧をコントロールすることに忙しくなっている。

春になると急増する症状に目まいや立ちくらみがある。血圧をコントロールする働きに体がついていけなくなることが、それらの原因になることがある。極度の疲労感から動けなくなり救急車で運ばれる人、庭仕事や畑の草取りをして急に目まいをおこす人、原因がはっきりしないが春には必ず病院のお世話になる人など、薬剤師に相談する例も多くなる。

日中の暖かさに血管が開いて必要以上に血圧が下がると、低血圧をもたらす。これによって脳への血液が十分に供給できなくなり、脳貧血となって現れる。脳貧血が起こると目の前が真っ暗になったり、立っていられなくなる。このように脳の血液量が一時的に少なくなることも目まいを感じる1つの要因だ。

低血圧は季節ばかりでなく、薬でも起こることがある。血圧降下剤や狭心症の薬、抗不安薬、睡眠導入剤などはその可能性を持っている。従って、夏になれば降圧剤の種類を減らしたり、用量を少なくすることもあるので、服用している薬や量が変わった時にはその理由を確認しておいた方がいい。

もし立ちくらみがしたら体を横にして様子をみる。心臓と脳を同じ高さにすることで、脳への血流が確保される。重度の疲労感や度重なる目まいを起こす時は、他の疾患が隠れている可能性があるので必ず受診してほしい。