『第587話』 【インフルエンザ発生警報】「風邪か」と甘くみないで

「風邪がなかなか治らないのでインフルエンザではないか」という人がいる。似たような症状が出るものの、風邪とインフルエンザは全く異なる。インフルエンザウイルスは非常に感染力が強く、突然39度から40度近い熱が出て症状が激しい。筋肉痛や関節痛などの全身症状が出るのも特徴だ。

普通の風邪は主に呼吸器の炎症による症状で、休養していれば3日から7日位でほぼ良くなる。風邪を引き起こす細菌は100種類以上が知られているが、中でも溶連菌や肺炎球菌、インフルエンザ桿菌(かんきん)と呼ばれる細菌やマイコプラズマ、クラミジアと呼ばれる病原微生物に感染すると簡単には治らない。

このほか、風邪を甘くみて安静にしていない、無理をして仕事をする、もらった薬をのんだりのまなかったりして抗菌剤の効果が得られない、などの理由で1週間以上も風邪が治らず、体調が戻らないと訴える人がいる。いま一度、薬の服用状況や安静にしているかどうかなどを見直すべきだ。

風邪がこじれると、黄色がかったうみ状のたんが出てくるようになり、発熱もある。せきの回数が増え、息苦しさなどを感じるようになったら、再度医療機関に行くべきだ。抗菌剤を変えることで効果が出ることもある。のみ忘れが多い人には1日1回で良いものもあり、3日間の服用で1週間持続する抗菌剤もある。

年配の人や糖尿病を患っている人は体力や免疫力が低下しているため、風邪を引きやすく、治りにくい。お年寄りの場合は症状がはっきりしないことがあるので、食欲がなくなったり、ボオーとしていることがあったりしたら家族が受診を勧めよう。

風邪でも熱がなければシャワーを浴びたり入浴をしてもいい。ただし短時問で済ませるようにし、出た後は湯冷めしないように部屋を暖めておく。また室内は乾燥させないようにする。

風邪を予防するには普段から人込みを避け、帰宅時は手洗いとうがいを励行する。

この時期は風邪の患者が増えるため、病院でうつる風邪やインフルエンザにも要注意だ。インフルエンザが猛威を振るい始めている。緊急感染予防態勢を怠ることなく、この1カ月間を乗り越えたい。