『第584話』 【健康食品】治療目的の使用避けて

昨年末から今年にかけて、牛海綿状脳症(BSE)、中国製ダイエット用健康食品、中国製ホウレンソウに残留し農薬など毎日口にする食品の安全性が問題となり、その対策が国民の注目を浴びた。

このほかにも、スウェーデン政府が4月にストックホルム大学と共同で行った研究の結果、炭水化物を多く含むイモなどを焼いたり揚げたりするとアクリルアミドが生成すると発表した。

厚生労働省は発がん性があると考えられているアクリルアミドについて、加工食品中の含有量や発がん性についての調査研究を始め、対応策を練っている。併せて、消費者にはホームページを通してアクリルアミドについての情報を提供。十分な果実、野菜を含むさまざまな食品をバランスよく取り、揚げ物や脂肪食の過度な摂取を控え、炭水化物の多い食品を焼いたり揚げたりする場合はあまり長時間、高温で調理しないよう注意を呼びかけている。

各国のお国ぶりは相当に違う。米国のそう身健康食品には鎮咳(ちんがい)薬のエフェドリンが含まれていたりと、世界的に情報を集めていけば、健康被害が起きそうな怪しげなものが数多く存在する。

11月には、ドイツ、スイス、米国で植物の「カバ」を原料とする健康食品を使っていて劇症肝炎になり、肝移植を受けるなどした症例が報告されている。

「カバ」もしくは「カバ・カバ」と呼ばれる植物はコショウの仲間で、根や茎から抽出したエキスが不安やストレスを取り除くといわれ、カバが育つ南太平洋の島々では儀式などに使われる。

日本では、未承認の医薬品に相当するが、インターネット上で、問題になった健康食品などと一緒にいかにも効果がありそうなうたい文句で宣伝されている。

 健康食品についての問い合わせが多いが、健康食品はその安全性と有効性に不明りょうな点がまだ多く残っていて、情報提供する側も確信をもって勧めることはできない。多くの情報が提供されている薬は悪者になり、確実な情報がないいわゆる健康食品を治療に使うのは間違っている。あくまでも、健康な人が健康の維持増進という枠組みの中で利用する食品ととらえてもらいたい。