『第581話』 【イチョウ薬食品】アレルギーの可能性も

健康食品のイチョウ葉食品に含まれる不純物によって、アレルギーを引き起こす可能性があることを国民生活センターが指摘している。

イチョウ葉エキスは、ドイツ、フランスなどでは脳血液循環を改善する薬として流通しているが、日本では、医薬品として承認されていない。

健康食品に含まれる不純物による健康被害では、1988年米国で、L-トリプトファンを摂取していた人が、筋肉痛、呼吸困難、発疹(ほっしん)などの症状を訴える人が急増し、死者38人を含む5,000人を超える人に健康被害が発生したことがある。原因は不純物として混入した工チリデン・ビス・トリプトファンと3-フェニルアミノ・アラニンが原因で、白血球の好酸球が過形成して筋肉痛症候群が起こったと考えられている。

この時のL-トリプトファンの製品純度は99.65%で、米国食品医薬品局が定めた製品基準の98.5%を上回るものだった。このことから、不純物の量だけではなく、その成分も問題であることが指摘された。

イチョウ葉エキスで問題になっているのは、イチョウにのみ含まれているギンコール酸で、イチョウの種子皮に触れたときに皮膚炎を引き起こす成分だ。食べれば胃腸障害を起こす。

ギンコール酸は、イチョウの種(ギンナン)を包む柔らかい外被(種子皮)に多く含まれている。また、イチョウの葉にも種子皮の5分の1程度の濃度で含有している。食用のギンナンには含まれていない。しかしギンナンには4-メトキシピリドキシンが含まれているので、食べ過ぎるとギンナン中毒を起こす。

今回の試験結果では、葉を粉砕したものに高濃度のギンコール酸が含まれる傾向があった。また、茶類は、有効成分とされているテルべノイドとフラボノイドをほとんど溶出しなかった。葉の抽出物を使った製品では、有効成分の含有量にばらつきがあり、品質に差があることが分かった。

取りあえず、葉を粉砕したものは避けたほうがいい。イチョウの葉食品の中には、成分表示をしているものもあるので、表示があるかその成分を含めて確認すること。あくまでも食品なので過度な期待はしないこと。そして、身体に異常を感じたら、ちゅうちょせず受診することをお勧めする。