『第575話』 【健康診断】冬に備えて体の点検を

10月も末になると、朝晩には暖房が必要かなと思えるようになってきた。冬支度に当たっては健康に関しても点検が必要だ。この時期、各市町村で実施する健康診査を受け、その結果を数値で示されたことにより、医療機関を受診する人が増える。

血液中のコレステロールや中性脂肪の量は数値で確かめるしかない。基準値より高ければ、自分の生活習慣を見直さなければならない。

ほとんどの人が運動の必要性や食事の見直しなどの改善方法を知っているが、一度身に付いた習慣を変えるのはなかなか難しいようだ。

脂肪も体にとっては大事な栄養の1つだが、増え過ぎると高脂血症という病気を引き起こす。脂肪は水に溶けないので、ある種のタンパク質と結合して「リポタンパク」という粒子になって血液中に溶けている。このリポタンパクには善玉のHDLと悪玉のLDLがある。LDLは肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ作用があり、HDLは余分なコレステロールを肝臓に戻す作用がある。

血液中にLDLが増えると血管壁にコレステロールがたまって血管を狭め、血液が十分に流れなくなり、動脈硬化を促進する。そのため、LDLは悪玉コレステロールといわれ、この数値は総コレステロールや中性脂肪の数値と並んで高脂血症の目安になる。

従って、これらの数値が基準値より高くなると余分なコレステロールが動脈の壁に沈着しやすくなる。特に心臓にある冠動脈の壁に沈着して内腔を狭めると、狭心症や心筋梗塞(こうそく)の引き金となる。これが怖い。

基準値以上の人の多くは通常、食事からのエネルギー摂取量が多い。食べる量を減らす努力と小まめに体を動かすことが最重要課題だ。高脂血症の薬は効果が大きいが、まず自分の生活を見直した上で、医師と相談して3カ月間は食事療法と運動療法を行う必要がある。これが功を奏すれば薬は不必要になる。

この他にもがん、高血圧、糖尿病などの生活習慣病が待ち構えている。本年度から肝炎ウイルスの検査を導入した市町村もあり、機会を逃すことなく検査を受けて、治療のきっかけをつかんでもらいたい。