『第572話』 【副作用情報】薬剤師の質問に協力を

薬局で初めてお薬を渡すとき、薬剤師がいろいろと質問する。あるいはアンケート用紙を渡して、回答を求める薬局もある。具合の悪い状況で、なぜこのような内容を尋ねるのか、理由が分からず不愉快になった人もいることだろう。しかし、この回答いかんによって注意を促すべき項目を確認し、特にお知らせしておきたい副作用情報を詳しく伝えることができる。

「車の運転をするか、機械を使う仕事をするか、夜勤があるか」などはよく尋ねる。眠気や目まいをもたらす薬、目のピント調節がうまく働かなくなる薬などが処方されているからだ。仕事をするな、運転をするなといってしまえば簡単だが、薬剤師はその先の対処法も検討し、お伝えすることがある。

「よく日光に当たりますか?」という質問は、ニューキノロン系のように、服用後、光に当たると発疹(はっしん)やかゆみを誘発する薬剤があるからだ。1日中、田んぼや畑の仕事をする人は特に注意が必要。肩凝りや関節痛に使う貼(は)り薬でも貼った部分に日が当たるとかぶれる場合があるので、長そでを着てもらうように話をする。

「食事は3回しているか?」という質問もある。2回の人は、毎食後の薬といわれ、3回服用すべきところを食事に合わせて2回にしている可能性があるからだ。薬の中には飲み忘れを防ぐため便宜上食後としているものもあり、食事に関係なく3回飲んでほしい薬もある。逆に食事をせずに血糖降下剤を飲むのは危険だ。そして、血糖値の高い人は食事を抜いたりまとめ食いをせず、1日3回バランスよく食べる必要がある。食事形態の情報は意外に重要だ。

飲酒の量やたばこの本数などは必ず尋ねられる。アルコールと一緒に薬を飲むと肝臓はまずアルコールの方を先に分解する。待ちぼうけを食って代謝が遅れた薬は身体の中に長時間取り残され、作用が増強する結果となる。

また、喫煙者では解熱鎮痛剤や抗喘息(ぜんそく)薬、精神安定剤、抗不整脈剤などは通常の1.5~2倍量を投与しないと効果が得られないこともある。

面倒なことは重々承知している。耳が痛いだろうが薬剤師の辛めのアドバイスにもぜひ耳を傾けてほしい。