『第567話』 【高血圧】心の変化、主治医に相談

お盆や長期の休みが明けると、薬局の窓口で、首から肩にかけての強い凝りや張り、頭痛を訴える中高年が増える。よく話を聞いていると、帰省した娘や息子家族の面倒をみた疲れが出たためのようだ。

以前から高血圧の薬を飲んでいるが、血圧がいつものように下がらない、あたるのではないか、などと心配が積もる。こんなとき、身体の変化に限らず、心の変化を主治医にも話した方がいい。

高血圧患者は、特定できる原因が分かっていないことが多い。体質的なものをはじめ、塩分のとり過ぎ、肥満、さまざまなストレス、暑さや寒さなどの要素が組み合わされて高血圧になる。

血圧とは、血管の動脈内圧力のことで、心臓が収縮したときに血圧は最も高くなる。逆に、拡張すると血圧は最低になる。高血圧の診断基準は常に上が140、下が90以上の場合をいう。

この状態では頭重感、目まい、耳鳴り、動悸(どうき)、脈の乱れ、手足のしびれ、胸の圧迫感などの訴えがさまざまに出てくる。更年期にさしかかる年齢の人は、原因をすべてそこで片付ける場合も多いが、日ごろから血圧の管理や心のケアをしてくれる主治医を持っていると心強い。

最近は血圧の薬が豊富になり、従来のものと違って内臓臓器には負担をかけずに、血圧を強力に下げる薬も登場している。個々の患者によって細かい使い分けが可能になった半面、処方を的確にするために、主治医は患者側から生活環境、食生活、仕事の内容、精神的ストレスなどを十分に聞き取る必要が出てきている。

最初の処方で約7割の人に薬の効果が現れる。しかし、血圧が上がる原因を1つ抑えると、他の要因が働き出して、また血圧を上げようとしてくる。そのため、その要因も抑えなくてはいけなくなり、血圧を下げる作用の異なる薬が2種、3種と増えてきてしまう。

こんなとき、なぜ薬が増えるのか、薬がなぜ変更になったのかを質問して、原因を明らかにしておくとよい。

患者側も積極的に治療に参加して、食事や運動に対してのアドバイスがあればそれを実行し、血圧の管理を図ってほしい。