『第562話』 【健康被害】拡大防止へ情報提供を
消渇丸(しょうかつがん)という中国の糖尿病薬がある。確かに成分名の欄に生薬名が書かれているが、併せて格列本▲(何と読むのか分からない)とある。しかし、英文で書かれた説明書の該当する部分には、グリベンクラミドが10丸当たり2.5ミリグラム含まれていると明記してある。1日5~10丸の服用の指示があり、これは日本で治療するときに使う量に等しい。また、説明書には肝炎患者は服用するな、医師の管理の下で服用せよ、という注意もある。
グリベンクラミドは、日本でも経口糖尿薬として使われている承認医薬品だ。日本では、処方せんがないと入手できない。しかし、こうした知識がなければ、単なる糖尿病用の漢方薬だと勘違いをして、大変危険な使い方をしてしまう人もいるのではないだろうか。
実は、平成12年にこの件についての指摘があった。しかし、いまだにインターネットで個人輸入できると広告が載っていて、日本語による成分名や詳しい使用説明がないまま放置されている。
未承認の医薬品成分が全く分からない状況で入っているとすれば、由々しき事態になる。
この度の件では、効能効果がはっきりしない「
ニトロソ-フェンフルラミン」が入っているようだ。化学物質として一般的に「ニトロソ」とつくと発がん性を疑う。代表的な物質は、魚や肉の焦げた部分に含まれる発がん物質のニトロソアミンだ。
麻薬にデザイナー・ドラッグズといわれるものがある。法律の網をくぐり抜けるために、麻薬の化学的構造を変えて、合法ドラッグにしたものだ。今回の件はまさにこれに当たる。構造の変化によって、本来の効果が増強されたり、副作用だけが強くなる場合もある。また、その成分の検出を難しくする。
食品の分野では、平成11年に検査しているのは、全輸入食品件数の7.3%で、このうち1,037件が食品衛生法の不適格品となっているだけだ。
健康食品・医薬品・未承認医薬品などの個人輸入となると、こうした検査もない。県では、これらによる健康被害の相談受付窓口を設けた。当センターや薬局でも相談を受け付けているので、実態を解明し、被害の拡大を防ぐ観点からも多くの情報をお寄せいただきたい。
▲は「にくづき(月)」に「尿」。