『第556話』 【にきび対策】規則正しい生活も大事
若い女性から、にきびを治すつもりでエステに通ったが、ひどくなるようだという相談を受けた。もともと、エステは健康な皮膚を維持するための施設で、治療を考えているのであれば皮膚科を受診するべきだ。
男女ともに、思春期になると男性ホルモンの分泌が増えてくる。男性ホルモンの分泌は皮脂の分泌を促す。また、皮膚が汚れていたり角化が進むと、毛穴をふさぐようになる。これで、面皰(めんぽう)といってプツプツっとしたにきびの初期の状態が作られる。
毛穴には皮脂を栄養として増殖するアクネ桿(かん)菌が住み着いている。アクネ桿菌は皮脂を過酸化脂質に変え、炎症を助長する。また、化膿(かのう)菌も増えて膿疱(のうほう)を形成するようになる。ここまでくれば立派な尋常性挫創、いわゆるにきびの誕生だ。
ここまでこないうちに、予防に努めることが大事だ。
まず、蒸しタオルを顔に当てて毛穴を開かせる。次に、石けんを十分に細かく泡立てる。最近は、細かい泡が出る容器に入ったにきび用の石けんも売られている。泡状にすると、汚れや皮脂を包んで毛穴から出す作用が高まる。決して力を入れて擦(さす)ってはいけない。軽くマッサージをするように洗う。その後、お湯で十分に石けん分を洗い流す。触ってみてぬめり感があるようであれば、皮脂が洗えていない証拠なので、もう1度その部分を洗う。
女性の場合、排卵から次の生理が始まるまでを「黄体期」といい、黄体ホルモンを分泌する。黄体ホルモンは皮脂の分泌を促すので、この時期ににきびが出やすい状態になる。
にきび治療に使う大衆薬(OTC薬)の成分には、イソプロピルメチルフェノールやレゾルシンなどの殺菌成分、イオウやサリチル酸などの角質軟化剤が配合されている。
思春期に5、6個のにきびが出て、2週間程度たっても消えないようなら、皮膚科を受診する。にきび跡ができる人はケロイド体質といって、跡が残りやすい上、後で治すのが難しい。このため、早めに受診した方がいい。
ストレスはにきびを悪化させる。にきびの治療にはビタミンを多く含む野菜を取り、規則正しい生活をすることも大切だ。