『第555話』 【ビタミンCとE】一緒に摂取すると効果的
大衆薬(OTC薬)のビタミン剤には、ビタミンCとEがペアになっているものが多い。
ビタミンCの成分名はL-アスコルビン酸だ。話題に上ることが多く、がんの予防や風邪に効果があるといわれている。試された人も多いのではないだろうか。しかし生体におけるその作用は多岐にわたっていて、しかも複雑なために不明なことが多く、今でも研究対象になっている。
ビタミンCが不足すると、血管や粘膜などの細胞同士の間にすき間ができてウイルスが侵入しやすくなったり、毛細血管がもろくなって歯茎や皮下で出血しやすくなる。
また、ビタミンCには強い還元作用があり、よくご存知のしみやそばかすを薄くする効果がある。
最近、「生活習慣病を予防できるのではないか」と注目されてきたのがビタミンEだ。脂溶性で抗酸化ビタミンとも呼ばれる。
体内に取り込まれた酸素は必要不可欠ではあるが、一方で活性酸素となって生体の組織や細胞膜、遺伝子などを酸化して傷をつける。特に細胞膜にある脂質が酸化されると過酸化脂質となり、動脈硬化を助長する。このとき同じ膜に存在するビタミンEが活性酸素にイオンを渡し、自らが酸化されることで脂質の酸化を防ぐ。
イオンを失ったビタミンEは、その結果悪玉になってしまうが、このときビタミンCからイオンを渡されると善玉のビタミンEに再生される。このためビタミンCとEは一緒に摂取するように配合している。
動物実験では、ビタミンEが不足すると筋肉の委縮が起こることが報告されている。そのためビタミンEが入った製剤は、肩こりに有効であることがうたわれている。
これらのビタミンは普通に食事をしていれば、食品からの補給が可能だ。しかし、野菜を食べないような偏食の人、体力の衰えや疲労がある人、激しいスポーツの後にはビタミン剤の摂取を考えた方がいい。
健康に関心があればあるほど、健康にいい食事とは何かを考え、おいしく食べることとバランスのいいビタミン摂取を両立させるように工夫したい。