『第553話』 【ストレスによる皮膚病】気にしないことが一番

社会人になってからも何度か資格試験を受けた。こうしたとき、しばしば蕁麻疹(じんましん)がでた。繰り返しかきむしった皮膚の瘢痕(はんこん)から、当時相当なストレスを受けていたようだ。

胃がストレスを反映する臓器として有名だが、皮膚にもストレスの影響がでる。

「円形脱毛症」や「慢性蕁麻疹」、毛細血管が拡張して皮膚が赤くなる「酒▲(しゅさ)」や「尋常性疣贅(ゆうぜい)」(いぼ)などの皮膚病もストレスがかかわっていることがある。アトピー性皮膚炎も症状を思い悩んでいるうちにストレスとなり、悪化することがある。

皮膚にある知覚神経は敏感で、痛みやかゆみを感じやすい。そのためについかきすぎて傷をつけたり、悪化させることが多い。簡単に手が届く範囲では、無意識のうちに患部を触り、かいてしまうことが起こる。かくことで、化膿(かのう)菌などによって感染し、菌の外毒素の影響でさらにかゆみが増す。

皮膚の感覚は人の感情に大きく影響する。人肌は気持ち良く、皮膚を通しての触れ合いは精神的な安定をもたらす。

また、感情の変化は自律神経を刺激する。恐怖感を感じると鳥肌が立ち、緊張したり興奮すると手のひらや足の裏に多量の汗をかく。汗を多くかく人ではその汗がたまって汗疱(かんぽう)という小さな水膨れとなり、出始めに強いかゆみを伴うことがある。

このような多汗症の人は自律神経の影響を受けやすいので自律神経調整薬を使う。また、病的なところまで至っていない人は、カラミンや酸化亜鉛などを石灰水に溶いたカーマインローションで汗をふき取り、さっぱりさせるのもよい。

円形脱毛症は一般的には頭髪に発症するが、まゆ毛、まつげ、陰毛にも生じる。治療薬としては塩化カルプロニウムを含有する医療用育毛剤などがある。しかし小型の脱毛斑が2~3個程度なら放置していても3~6カ月ぐらいで自然治癒することが多い。

ここで、また思い悩んではストレスが強くなるばかりなので、気にしないことが一番だ。

ストレスから来る皮膚病の場合、ストレスが軽くなると症状が必ず好転する。まずはストレスを受け入れ、その対策を講じるか、受け流すだけでも改善できる。

は「ひのかわ(皮)」に「査」