『第548話』 【老化防止】まずは食生活の工夫から

平均寿命のほかに健康寿命という言葉がある。これは、健康のまま何歳まで生きられるかという数値だ。平均寿命と健康寿命が限りなく近ければ死ぬ直前まで元気に仕事や家事ができ、生きがいのある生活を送ることができる。また、寝たきり等の問題も少なくなり、老人医療費や介護保険料の節約につながる。

2000年に世界保健機構(WHO)から出された平均寿命と健康寿命の差は6歳だった。米国抗加齢医学会からは、この6年を縮めるために「病気にならない、年を取らない、死なない」という提案が出されている。

「年を取らない」といっても、骨や関節、皮膚などは比較的早く老化が現れる。次いで目、歯、髪などで、白髪やしわなどが増えてくる外見の老化は自然の現象といわざるを得ない。これらは、直接生命維持にかかわっている部分ではなく、問題は内臓の若さを保つことにある。寒さや暑さが苦手になった、無理がきかなくなった、病気をすると回復が遅くなったなどと感じたら、体が老化に向かっているサインだ。

老化を止める有効な薬はない。まずは内臓を若く保ち、病気にならない対策が必要だ。その一つに、体の細胞をさびつかせる活性酸素、またはフリーラジカルと呼ばれるものを減らす方法がある。

酸素を取り込んで呼吸している以上、体内での活性酸素の発生は免れない。活性酸素は何かと悪者扱いをされるが、強力な殺菌作用を持つおかげで、我々は細菌感染の難を逃れている。

しかし、過剰の活性酸素は内臓に悪影響を及ぼす。特に血液中の悪玉コレステロールを酸化させ、血管を詰まりやすくする。活性酸素が発生しないようにするには紫外線、たばこ、睡眠不足、ストレスを避ける。スナック菓子や添加物の多い加工食品のとり過ぎを避け、活性酸素の働きを抑える酵素を増やすためにカキ、レバー、ワカメ、ノリなどを摂取する。

抗酸化物質としてワインや緑茶で有名になったポリフェノール類も単独で取るより効果的に働く組み合わせがある。例えば、牛肉を食べるときには赤ワインを飲む。コーヒーには牛乳をたっぷり入れてカフェオレにする。また、みそ汁はシジミが良く、豚肉はショウガ焼きで、ヨーグルトはキウイと一緒などだ。普通の食生活といえども、老化防止には効果大である。