『第542話』 【化学物質過敏症】学校で定期的に環境検査
シックハウス症候群という名称は、家が疾病を引き起こす原因になるということで話題になった。しかし、その疾病を引き起こしている原因物質を特定することは難しい。その原因となる化学物質が粘膜を刺激して、目がチカチカする、涙目になる、咽喉(いんこう)がヒリヒリするといった症状を引き起こす。ひどい場合には、手の震えやけいれん、筋肉痛や疲労感、さらに思考力の減退やうつ病などの精神障害も出てくることがある。
シックハウス症候群という名称は正式な病名ではない。現在、化学物質過敏症などさまざまな言い方がある。アレルギー反応と考えられているが、そのメカニズムはよく分かっていない。
厚生労働省は、平成9年6月に「快適で健康的な住宅に関する検討会議」小委員会報告に沿って、ホルムアルデヒドの室内濃度指針値0.08ppmを設定している。現在、このほかにトルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンに指針値がある。しかし、過敏症の人はこの指針値よりも低い濃度で反応する。現状では、健康な人が化学物質過敏症にならないための濃度と考えればよい。
人は、いろいろな化学物質とさまざまな場所で接触している。特に、子供が集まる施設、学校での対応を図ることが重要だ。文部科学省は、昨年12月に全国7都道府県の50校を対象に実施した空気質測定調査結果を公表している。これによると、夏季においてホルムアルデヒドの指針値を超えた教室が4.3%、トルエンが1.5%あったことが報告されている。
これらの報告や調査を経て、文部科学省は今年2月5日「学校環境衛生の基準」を改訂した。ホルムアルデヒド、トルエンについては年1回定期検査を行い、指針値を超えていたら、換気の励行、発生原因究明と発生抑制対策を行う内容になっている。また、キシレン、パラジクロロベンゼンについても必要なときには同様の対応を図ることになっている。
県学校薬剤師会では、4月から施行する「学校環境衛生の基準」に対応するために、測定の実施に向けた検討を始めている。