『第541話』 【下痢の対処法】薬の使用は必要最小限に

風邪をひくと太る人がいる。食欲がなくても栄養をつけなければと考え、普段よりカロリーを多く取るからだろう。普通の風邪なら2、3日で苦しいところを脱するので、食欲がないのなら無理に食べなくてもよい。何よりも安静を第一とし、熱があるならスポーツドリンクなどの水分を取る方が大事だ。

「風邪がおなかにきた」というときは感冒性胃腸炎のことで、ウイルス性胃腸炎ともいう。食中毒でもなく急性肝炎でもない突然の下痢やおう吐は、鼻風邪の原因となるライノウイルスやアデノウイルスによることがある。

この場合は食事をせず、胃腸を安静にするのが回復への近道だ。吐き気は胃腸が普段とは異なる状態にあることを示す。このようなときは思い切って絶食する。吐き気がなく、下痢だけのときはおかゆでも食べた方がよいように思うが、コメは繊維質で腸にとっては負担になる。

水分を取るとさらに下痢を起こすような気がするが、下痢となっているのはほとんどが腸からの分泌液だ。この分泌液を出すことで腸は負担になっているものを追い出そうとしている。

腸に有害なものがある限り、これらを排除しようと下痢が続くので、下痢止めの使用は必要最小限にする。むしろビフィズス菌のような乳酸菌を主成分とした整腸剤の方が腸内の環境を正常に戻すのによい。

腹痛や下痢が治まらないうちは、重湯やおかゆなどの食事はやめ、スポーツドリンクなどの電解質液を補給する。電解質液がないときは、砂糖40グラム、塩5グラム、100%果汁200ミリリットルに水を足して全量を1リットルとして使用する。こうして胃腸の炎症が治まるまで、脱水症状を起こさないよう管理する。

電解質液のほか、お茶やリンゴジュースの補給もよく、食べられる状態になったら素うどんやヨーグルトからスタートする。これらは低残渣(ざんさ)食といって、腸に達するまでにほとんどが吸収されるものだ。

感冒性胃腸炎の場合、風邪の症状を伴うものもあれば、ただおなかだけやられるものもあるが、以上のことを守り、安静にしていれば、ほぼ1週間で回復する。