『第525話』 【排尿】老化、病気で回数増える

寒くなるとトイレが近くなる。暑いときに比べ、汗をかかなくなる分、体に水分がたまる。それを尿として排せつするため回数が増える。

ぼうこうにためることができる尿の最大量は500ミリリットル入りペットボトル1本ぐらいだが、実際には牛乳びん1本分(200ミリリットル)以上たまったあたりから尿意を感じる。

しかし寒さが刺激となってぼうこうが縮み、容量が少なくなると、さらに回数が増える。

高齢者のぼうこうは筋肉成分が次第に少なくなり、繊維成分が増してくる。これによってもぼうこうの容積が小さくなり、トイレが近くなる原因となる。

尿は血液の老廃物を腎臓(じんぞう)でろ過して作られるが、加齢とともに腎臓の機能が落ち血流が悪くなる。

しかし、睡眠中は体を横にするため、血流が良くなり、腎臓でこしとられる血液量も増えて夜間に排尿回数が増えてしまう。

男性の場合は高齢になると尿道をとりかこむ前立腺(せん)が肥大する。これが尿道を圧迫して尿が出にくくなり、一方でぼうこう出口を刺激するため頻尿となる。

このように老化現象として自然に回数が増える場合と病的な場合がある。

前立腺肥大症では前立腺や尿道に分布する交感神経の緊張を解き、尿道の内圧を下げる薬や、植物エキス、花粉エキスを混合し、前立腺の炎症をとって排尿を促す薬などがある。肥大した部分を手術で削り取る場合もある。

女性では尿道が短いことから、大腸菌が尿道から入りやすく、ぼうこう炎になる人が多い。

ぼうこうと尿道の粘膜に炎症ができ、ほんの少し尿がたまっただけでも尿意を感じ、頻繁にトイレに行きたくなる。

また排尿のたびに炎症部分が刺激され、激しい痛みを伴う。

抗生物質を3日間ほど服用すると楽になるが、再発しないよう決められた数量を飲むことが大事だ。

脳梗塞(こうそく)やパーキンソン病などでも、脳からの排尿指令がうまく届かず頻尿が起こることもある。