『第515話』 【リウマチの薬】副作用軽減へ開発進む

問い合わせの多い疾患に、慢性関節リウマチがある。痛みを伴い、鎮痛薬などを長期に服用する必要があり、副作用が出やすいからだと思われる。

リウマチの語源は「流れ」を意味するギリシャ語だ。痛みの原因物質が身体の中を流れると考えたようだ。

慢性関節リウマチの原因は分かっていない。しかし、何かがきっかけとなって免疫機構が働き、自分自身の細胞組織を攻撃してしまうアレルギーと同じ自己免疫疾患であることは確かだ。

米国リウマチ協会では、以下の7項目のうち4項目以上が該当すれば慢性関節リウマチとしている。①朝のこわばりが少なくとも1時間以上ある②3つ以上の関節がはれている③手関節・指の付け根の関節・指の第2関節のいずれかにはれがある④対称的にはれている⑤皮膚下に結節がある⑥血清リウマトイド因子陽性(リウマチ反応陽性)である⑦手のエックス線検査で、関節部分の骨の表面が削られた所見がある。

薬物治療には2つの大きな柱がある。1つ目は、痛みに対する対症治療として、非ステロイド抗炎薬(鎮痛薬)。2つ目は、炎症を引き起こしているもとを絶つ抗リウマチ薬。鎮痛薬は服用後数時間で効き始めるが、抗リウマチ薬の効果は早くて1ヵ月、その効果が判定できるまでは3ヵ月~半年程度かかる。抗リウマチ薬はその種類によって効く人と効かない人がいる。また、「エスケープ現象」といって、長い間効いていた薬が突如効かなくなることがあり、別の薬が処方されたり、追加されたりすることがある。

非ステロイド抗炎症薬は、炎症を起こすプロスタグランジンの合成を阻害して、効果を発揮する。しかし、プロスタグランジンが胃では潰瘍(かいよう)を防ぐ役割をしているので、胃腸障害の副作用が起きてしまう。最近は、副作用を軽減するために、炎症部位でプロスタグランジンの合成をするシクロオキシゲナーゼⅡを選択的に阻害する薬が開発されている。

米国では、リウマチの炎症と関係の深いサイトカインを抑える薬が承認された。日本でも、免疫抑制剤などを含め、新たな抗リウマチ薬の治験が進んでいる。