『第505話』 【めまい】慌てず方言で症状伝えよう
症状を伝えるとき、方言の方がそのニュアンスをよく伝えていることがある。
秋田弁の「まくまくする、まぐまぐじい」、または「うるうるする」などという表現はめまいの症状を特徴的に伝えている。
がけっぷちに立って断崖(だんがい)絶壁をのぞき込んだときに起こるようなめまいもあるし、体を回転させた後ぴたっと止めると、周囲が回って立っていられないめまいもある。
めまいは脳または耳に原因があり、その割合は半々だ。
耳は音を聞くと同時に体の平衡感覚をとる器官だ。内耳にある蝸牛(かぎゅう)や半規管(はんきかん)に何らかの異常があるとめまいが起こる。
特に蝸牛は音を感じ取る器官なので、ここに障害があると難聴を伴っためまいとなる。
自分の周囲の景色がぐるぐる回るようなめまいが発作的に起きる場合は、メニエール病が考えられる。耳鳴りや吐き気を伴うこともある。
発作が起きても1~2時間で治まることが多いので慌てず、なるべく頭を動かさないようにして横になる。難聴が起きていたら、難聴側の耳を上にすると幾分は楽になる。
治療には主に抗ヒスタミン剤が使われる。
抗ヒスタミン剤は、乗物酔いにも使われる眠気を伴う薬剤だが、これがめまいを抑えたり、吐き気を止めたりする。
薬を内耳に移行させやすくしたり、内耳のむくみを取るために利尿薬を併用することもある。難聴の程度によりステロイドも使用する。
発作後は、内耳の血液循環を良くする薬剤で症状の軽減を図る。
脳に原因がある場合、その大部分は脳の血液が一時的にうまく流れないことによって生じる。立ち上がったとき目の前が暗くなってふらふらするのは、この血液循環不全による。
微妙な表現を察知して診断や相談に役立てることもある。遠慮せず、方言で症状を訴えるのも一考だ。