『第1話』 便利なカプセル、原料はゼラチン

薬の誤飲や副作用、服用している薬がどんな成分なのかなど、薬への関心が高まっている。そうした疑問や相談の窓口でもある県薬剤師会医薬品情報センター(TELO18-834-8931)に、薬に関するさまざまな話題を紹介してもらう。

オブラートに包んで飲めば、良薬といえども苦い思いをしなくて済む。その包む手間もかからず、そのまま飲めるのがカプセル剤である。

オブラートはでんぷんに寒天、こんにゃくなどを混ぜて溶かし、乾燥させて紙状にしたもの。

一方、カプセル剤の原料はゼラチンで、1933年にパリの薬剤師モーテスが発明した。苦い粉末はもちろん、においの強すぎるもの、舌に刺激のあるものなどをカプセルに詰めれば、無味無臭のまま服用できる。

一般に目にする円筒型のものは硬カプセルと呼ばれゼラチンに砂糖、水などを混合して作られる。ゼラチンは胃液で簡単に溶け、たんぱく質なので栄養物として体に吸収されてしまう。

このカプセル剤も思わぬ事件を引き起こした。アメリカのシカゴで、何者かがカプセルの中に青酸化合物を混入させ、それをスーパーマーケットで買った客が中毒死した。それ以後、ボディーとキャップを一度かみ合わせると簡単には外れない安全性の高いものが登場している。

軟カプセルもある。ソフトカプセルとも呼ばれ、触ると弾力があり、球型やだ円型のものもある。飲みやすさの点ではこちらの方が良いが、硬カプセルよりも作りにくい。主に、液体状や糊(のり)状、油状の薬剤が詰められている。

カプセルの色も、このごろは白色にする傾向がある。タートラジンという黄の着色料が、アスピリンアレルギー患者の発疹(ほっしん)や発作を誘発する事が分かったためだ。その結果、その他の色までも消えてしまった。

しかし、白色ばかりでは数種類のカプセルを飲む患者は、薬の取り違えを起こす危険性がある。飲みやすさと同時に安全な着色剤の開発もまた今後の課題だ。