『第8話』 ステロイド剤は服用量の厳守を

交通事故で大けがをしショック状態に陥ると、体内の副腎(ふくじん)という臓器からは一時的に大量のホルモンが出てなんとか生命を維持しようとする。副腎の髄質部分からはアドレナリン、皮質部分からは副腎皮質ホルモンが分泌される。

体内で生産される副腎皮質ホルモンは数種あるが、これらはコレステロールから作られ、男、女性ホルモンなどと同じ基本構造を持ち、これらを総称して、単にステロイドホルモンとも呼ぶ。

ステロイドホルモンは薬としても強力で広範囲な作用がある。薬品は、薬理効果の目標を絞った合成品か半合成品だ。関節リウマチやリウマチ熱、気管支ぜんそく、薬物アレルギー、じん麻疹(ましん)、湿疹、その他の重症炎症性疾患に著明な効果がある。

しかし、副作用も出やすい。ステロイド剤を長期服用していると、体内の副腎は自らホルモンを作ることをやめて委縮する。そこで急に服用を中止すると、急性副腎不全をおこし危険である。

またステロイド剤を服用中は、ワクチンの予防接種はしないようにする。妊婦や授乳中の婦人も、あらかじめ医師に申し出るようにしてほしい。

軽い副作用としでは、ムーンフェイスと呼ばれる顔が満月のように丸くなる状態や、にきび、月経異常、体重増加、むくみ、発汗異常、多毛などがある。

また無痛性の消化性かいようが発生することもあるので、服用中に胃障害があれば、直ちに主治医に相談した方がよい。定期的な受診も、副作用を予防する方法だ。

いずれにしても主治医から指示された分量、服用回数、日数を厳守すれば、心配はない