『第9話』 家庭用殺虫剤は冷暗所に保存を

殺虫剤というよりも、夏の風物詩といった感が強い蚊取り線香は、わが国では明治中期に考案された。

殺虫成分は、除虫菊に含まれる天然ピレトリン。現在の蚊取り線香は、改良を加えた合成ピレトリンに、除虫菊やスギ、ヒノキなどの木粉、のりやでんぷんを加えて練り上げ板状にし、それを渦巻型に打ち抜いて乾燥させたものだ。

部屋を締め切って使うと煙がこもり、目やのどに刺激を感じることもある。

次に登場したのが火も使わず、煙も出ないという電気蚊取り。殺虫成分を染み込ませたマットを加熱する(150度前後)方式と、液体方式がある。

蚊取り線香や電気蚊取りマットの毒性は、極めて弱いので、子供がなめたりしても慌てず、口を何度か水ですすげばよい。

エアゾールタイプの殺虫剤は最も簡便で、用途によって数種ある。

空中に噴射する空間タイプは、六畳間なら1回5~10秒噴射すれば十分効果がある。皮膚や食品、食器、おもちゃ、ペットのえさなどにかからないよう注意する。誤って皮膚に付いたときは、せっけんで洗えば十分だ。

このほか、ゴキブリ、ノミ、ダニの生息場所や通路に噴射して塗る塗布タイプと人のいない密閉した部屋で一気に薬剤を全量噴射するタイプがあり、隠れた所にいる害虫を駆除できる。

全量噴射式タイプと、ピレトリンなどのピレスリン類のほかに有機リン剤を含むエアゾールは医薬品扱いになるため薬局、薬店以外では購入できない。

殺虫剤の保存は、直射日光を避け、子供の手が届かない、湿気の少ない冷暗所が望ましい