『第14話』 妊娠中の服薬は量や種類に注意

新婚旅行のカップルと飛行機で隣り合わせた。女性はかなり不機嫌で、乗り物酔いに加え風邪気味だが、妊娠するかもしれないので薬は飲まないという。早すぎる心配といえなくもないが、こうした不安は薬を危険な物と見がちである。

一般には、胎児の形態が整う妊娠3ヵ月までが、胎児に障害を起こしやすい期間と考えられている。実際は量も関係しており、飲んだからといって必ず奇形児が生まれるというわけではない。

ただし、てんかんやうつ病、糖尿病の薬、ワーファリンなどの抗凝血剤、抗がん剤などは危険性が高く、服用は主治医とよく相談する必要がある。

一部の抗生物質やホルモン剤、マイナートランキライザー、じんましんなどに用いる抗ヒスタミン剤なども、奇形や障害を起こすことがあると報告されている。

妊娠中はいろいろな理由から薬の副作用が出やすくなっているため、市販薬にも注意が必要だ。

市販薬は一般に、医師の処方する薬に比べ効きめも弱く副作用も少ない。妊婦に危険があるような場合は注意書きが出ているので、まずこれをよく読んでほしい。

しかし奇形を恐れるあまり薬を拒み、持病を悪化させたり、風邪をこじらせたりしたのでは、さらに薬を飲むことになりかねない。

妊娠中のつわりや腰痛、貧血、便秘なども薬が優先する場合がある。具合が悪ければ早めにかかりつけの医師に診てもらうのがよい