『第23話』 温泉には9種類、治療効果に違い

「湯治」という言葉があるように、温泉は病気治療や病後療養に活用されてきた。今ではストレス解消や気分をリフレッシュする場にもなっている。特に、病気治療の目的に使われるものは療養泉と呼ばれる。

温泉は、含まれる化学物質の量により九つに分けられる。日本に一番多いのが単純泉で、水温が常に25度以上で湧出(ゆうしゅつ)し、含有成分は水1キロリットル中に1グラムに満たないものをいう。昔から名湯といわれるのはこの泉質が多く、治療効果は含有成分だけでなく、温泉地の気候や環境にも大きくかかわっている。

炭酸泉は、遊離炭酸が1グラム以上含まれるものを言う。炭酸ガスは末しょう血管を拡張し、血行を促進するので心臓に負担をかけずに血圧が下がる。ヨーロッパでは「心臓の湯」といわれるが、日本には数が少ない。

重曹泉(アルカリ泉ともいう)は皮膚表面の脂肪や分泌物を乳化して柔らかくし、肌をなめらかにする。浴後は、皮膚からの水分の発散が盛んとなり体温が放散されて涼しさを感じる。

逆に食塩泉は、入浴後、食塩が皮膚に付着して汗の蒸発を妨げるので保温効果が高い。よく暖まるので高齢者に向いている。

40度以下のぬるめのお湯は、副交感神経を刺激して心身を落ち着かせる。血圧の変動も少なく、心拍数が減少するので高血圧や心臓の弱い人、高齢者に勧めたい。

温泉水の飲用には、水道水なみの厳しい基準がある。飲用許可と注意書きがある以外は、むやみに飲むことは避けたい