『第24話』 温泉に老化現象、現地で飲むこと、

前回に続いて温泉利用法を紹介しよう。ヨーロッパで温泉といえば、温泉水を飲むことを意味することが多い。日本では明治になって、ベルツ博士の指導のもと飲泉が盛んになった。

ヨーロッパでは温泉医が個人の体調にあった量や時間、回数などを処方し、それに沿って入浴したり飲泉をする。

飲泉は飲泉許可のあるところで、しかも温泉がわき出ている現地で飲むのが原則だ。温泉には老化現象があり、持ち帰って飲んでも効果はない。時間がたてば温泉に含まれる有機物の腐敗も起こる。

早朝の空腹時と夕食前には食塩泉や炭酸泉、重曹泉を飲むと良い。食事は30~60分後にする。

鉄泉は食後に飲む。空腹時は胃腸粘膜への刺激が強過ぎる。鉄泉を飲んだ直後にお茶類を飲むと、タンニンと鉄が結びついて歯が黒く染まってしまう。

炭酸泉や硫黄泉を多く飲むと下痢を起こす。また酸性の強い温泉は口内炎を起こすこともある。

入浴すると水分や塩分が失われて、のどが乾き、つい温泉を飲みすぎてしまう。特に、糖尿病・高血圧症の人は注意が必要だ。

健康な人が飲泉を楽しむときは、湯のみ茶わんに1、2杯程度(100~200ミリリットル)を1回分としてゆっくりかむように飲む。これを1日2、3回、散歩をしたり、くつろぎながら飲む。

病気治療のために飲むときは、主治医と相談し温泉療法医の指導を受けるのが良い