『第27話』 アトピーの子供、30年間で4倍に

ここ30年間でアトピーと診断される子供の数は4倍になった。

アトピーはアレルギー疾患の一つで、特定の異物(抗原)が体に入るとそれに対して異常な免疫反応を起こし、下痢や腹痛、じんましん、皮膚炎、鼻炎やぜんそくといったさまざまな症状が繰り返し現れる。

抗原には家ゴミ(ダニ)や花粉、かび類、卵、乳製品などがある。

調査によると鉄筋マンションでは、古い木造の家に比べてダニの数は10倍。また生後4カ月までに卵を食べている乳児の数も、ここ10年で3倍に増えている。

アレルギーを起こしやすい子供に、卵のような抗原性の強い食物を与えるとアレルギー素因が刺激される。その結果、その後次々と出会う抗原に対して反応しやすくなる。

したがって両親がアレルギー体質の場合は、妊娠8カ月から生後8カ月まで卵を取らないことで、卵が直接の原因ではないアレルギー疾患も予防できる。この方法は「8・8療法」と呼ばれている。

アトピーの原因が食品の場合、成長にも影響するので関連食品すべてを制限することは難しい。そこで薬を使って、異常な免疫反応が起こってもアトピー症状が出ないようにしてやる。

たとえば抗アレルギー薬をアトピー性皮膚炎の子供に使うと、その症状は抑えられ、気管支ぜんそくに移行するのを防ぐ効果がある。また卵アレルギーの子供に使用すると、生卵ではアレルギーを起こすが、加熱調理した物では起こさないといった予防効果も報告されている