『第29話』 「過ぎたるは毒」、農薬の量減らせ

均一で、美しい野菜や果物を消費者は好む。農村地帯から若者が消え、その労働力を補い、かつ作物の収益性を高めるためには農薬の使用もいたしかたない現状がある。

オオバ、ミツバ、セロリ、イチゴ、モモからは農薬が検出されやすく、収穫までの3~6種類の農薬が使用されているという報告もある。これらはその性質上、さまざまな殺菌剤や殺虫剤を使わないと良質のものができないという問題がある。

一般の農作物から検出頻度が高い有機リン剤は神経毒で、動物は殺傷するが、神経のない植物にはまったく害がない。害虫駆除には最適だが使用量によっては山野や小川の生き物も死滅する。

有機塩素系の農薬もよく検出される。これらは脂に溶けやすいため人体のあらゆるところから入りやすく、塩素ガスの毒性と発がん性を持っている。DDTやBHCは現在使用禁止だが、それとよく似たものは今でも使用されている。

無農薬といっても農薬の有無は外見からは分からない。また農薬を使用していても、太陽や雨風にさらされることによって分解され、必ず残留しているわけではない。

農薬の多くは毒物、劇物に指定されている。本来農薬は、「薬も過ぎたるは毒」の言葉どおり農業用毒物である。より少ない量で効果を上げるにはどうするか、土地の狭い日本にとっては大きな課題である