『第33話』 室内の複合汚染、換気徹底で除去

昨年8月、厚生省は「シック・ビルディング症候群検討委員会」を発足させた。オフィスビルやマンションが原因でなる病気(シック)を解明しようというもので、もちろん気密性の高い住宅も対象だ。室内をざっと見回してもさまざまな汚染物質に満たされていることが分かる。

ビルの建築資材であるコンクリートや石材からは、肺がん誘発性のあるラドンガスが出る。家具や建具の合板に使用される接着剤や断熱材からは、ホルムアルデヒドというガスが出る。

事務機器からはオゾンガス、じゅうたんからはダニ、かび、ふけといったハウスダスト。さらにクリーニングしたじゅうたんから生じる揮発性の汚染物質など、きりがない。

冬場は暖房器具の使用で一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)も増えてくる。これらが複合汚染となって、なにかいつもすっきりとしないといった身体の不調をもたらす。目に見えない汚染物質を取り除くには、今のところ換気を十分にすることぐらいしかない。

眠気、けん怠感、頭痛、目やのどの刺激、粘膜や皮膚の乾燥感を訴える社員が多く、室内の環境汚染が懸念される場合は、まず換気の目安となるCO2濃度を測定する。

この値が高ければほかの汚染物質もたまっていると考えられる。CO2濃度の1日平均測定値が1,000ppm前後であればまずまずだ。測定器具は10,000円程度からあり、自分で手軽に測定できる