『第34話』 怖い低温やけど、治療に長い時間

寒い夜には湯たんぽや電気あんかが必需品だ。これらは長時間接触していても熱さに気がつかないことが多い。

特に熟睡した子供や、下半身に知覚異常がある人は、熱さを十分に感じ取ることができない。そのため気づいたときは、皮膚表面はおろか、皮膚の.奥の脂肪層まで損傷されていることがある。

この状態は低温やけどといわれ、45度~65度ぐらいの比較的低い温度の物に長時間接触することで起こる。しかしこれが重症であることは案外知られていない。

低温やけどでは知覚神経の末端まで破壊されるため、痛みがむしろない場合が多い。新しい細胞を作り出すための毛のうや脂腺、汗腺もなくなっているので、治るまでにはかなりの時間がかかることになる。

やけどを治すための薬はない。低温やけどをしたら高温やけどと同様、まず患部を冷やす。そのあと薬で感染を防止する。抗生物質や抗菌剤のほかに、副腎(じん)皮質ホルモンやたんぱく分解酵素剤を含んだ軟膏(こう)剤が中心となる。

ただし治ってもケロイドを残すことがあるため、家庭での処置は小さいものにとどめ、皮膚科や外科へ行くことをお勧めする。

民間療法としての大根おろしやみそ、チンク油を塗るといったことは、感染を防ぐ上でもすべきではない