『第722話』 【花粉症】防御・予防の徹底が重要

スギ花粉前線が、本県を3月10日前後に通過した。今年の飛散量は昨年に比べて少ないと予測されている。飛散状況は県の花粉情報ホームページ(http://www.pref.akita.jp/eisei/infection/pollen/)で随時知ることができる。例年、スギ花粉の飛散時期は3月上旬から4月末までで、今がそのピークとなっている。しかし花粉症の原因はスギだけでなく、これからブナ、ヒノキなどと続き、7月に入るとイネ科の花粉が飛散し、秋にはブタクサやヨモギなどの花粉で苦しむ人が出てくる。

アレルギーは1960年にクーブスとゲルが、その機構と症状から4つのタイプに分けることを提唱し、この分類が一般的になっている。Ⅰ型アレルギーはアナフィラキシー型ともいう。肥満細胞に結合したIgE(免疫グロブリンE)にアレルギーを引き起こす成分がつくと脱顆粒(かりゅう)という生体反応が起こって、くしゃみや鼻水の原因となるヒスタミンを放出する。一般的にアレルギーというとⅠ型のことをいう。本来は異物を体内から除去するシステムなのだが、過敏に働くとアレルギー症状となってしまう。

天疱瘡(てんぽうそう)や溶血性貧血などのⅡ型アレルギーは細胞障害型ともいい、自己細胞そのものを攻撃してしまう。Ⅲ型アレルギーは免疫複合型ともいって、Ⅱ型アレルギーと同様にIgG(免疫グロブリンG)が関与して、アレルギー性血管炎などを起こす。Ⅳ型アレルギーは遅延型反応でT細胞やサイトカインが関与している。

このようにアレルギーは分類されているが、アトピー性皮膚炎ではⅠ型とⅣ型が関係するなど単一の型だけで起こるわけではない。

アレルギーの発症にかかわるIgEを発見したのは石坂公成氏だ。1960年代、ほかの免疫グロブリンは血清1ミリリットル中にミリグラム単位で存在していることが分かってきた。しかしIgEはわずか100万分の1グラムしかなく、そのよ.うなものはないと批判を受けながら苦労して1966年にやっと発見した。これがきっかけとなって免疫学は大きく進歩した。

花粉症の症状が出たら、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン薬を早めに使うしかない。花粉から身を守る眼鏡や予防服などのグッズが入ったお出掛けセットなども販売されている。花粉症の人は花粉と接触する機会を限りなく少なくするよう防御・予防対策の徹底を図るようにしたい。