『第731話』 【人畜共通感染症】動物の健康管理徹底を
人畜共通感染症は、人間と動物のどちらも感染する病気のことだ。あなたが自分のペットから感染することもあるし、逆にペットにうつしているかもしれない。
このたび県内で腸管出血性大腸菌O157、O26の発症者が相次ぎ、大型連休中に秋田ふるさと村(横手市)で開かれた動物と触れ合うイベントを通じて感染した可能性が高いとの報道があった。人畜共通感染症ではないが、同じ感染症ということでかつてハンセン病患者がひどい差別を受けたことを思い出した。
ハンセン病は非常に感染力が弱く、濃厚に接触しないとうつらない。母親などから抵抗力の弱い乳幼児へ感染していった。家族内で感染することが多く、潜伏期間も長いため感染症という認識が持たれず遺伝病とされた。日本人として恥ずべき子孫を残すまいといった考えから隔離され、妊娠した女性は強制的に堕胎させられた。その苦い経験を経て、らい予防法は廃止された。
一方、明治30年に制定された伝染病予防法は約100年間、手を付けられることはなかった。しかし医療技術が進歩、国民生活も変化して実情に即さなくなり、平成11年に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」という新しい法律となった。
さて県内で腸管出血性大腸菌の発症者が相次いだ問題だが感染経路をしっかり調査し、感染源も特定すべきだろう。反すう動物はO157、O26などの菌を持っていることがある。ただし、それらの菌はすべてが毒素を出すわけではない。また人間や動物が感染しても症状が出るとは限らない。
同様の感染を防ぐために今できることは、まず濃厚に接触する可能性のある動物の健康管理をしっかり行うことだ。動物の飼育場所の清掃をこまめに行い、清潔に保つことも心掛けたい。そして感染予防を図るために手洗い、うがいの重要性を再確認し、衛生思想をしっかり身に付けることも大切だろう。
変に動物を怖がる必要はない。十分な予防対策を講じた上で、子供たちには動物との触れ合いなどを通じて動物愛護の精神をはぐくんでいってもらいたいものだ。