『第745話』 【不整脈】心配ならば一度受診を

北極星は地球の自転に伴い動くか、動かないか。答えは「動く」が正解。北極星は自転軸上にあると思っている人が少なくないかもしれないが、実際は約1度ずれているからだ。

かつて小中学校で「動かない」と教えることに異を唱え、退職勧告を受けた教師がいる。今年で創立六十周年を迎えた横浜天文研究会の前川光会長だ。国立天文台の前身である東京天文台の台長を務めた広瀬秀雄氏が、それが正しいことを証言して救われたが、地動説を唱えて裁判にかけられたガリレオ・ガリレイのようだったと当時を振り返っている。

不変とされていたことが実は違っていたり、世の中の流れとともに変わることがある。先に開かれた国際天文学連合の総会では、太陽系の惑星から冥王星が除かれることになった。

以前の人の死は、心・肺・脳のすべての機能停止を意味する心臓死だった。しかし、現在は臓器提供をする場合は、脳死も人の死とされている。脳が機能しなくなっても心臓は働きを維持できるので心臓移植が可能になる。

心臓は、もともと自動性と自律性を持っている。約50ミリアンペアの電気信号が洞結節という部分から発生、心房を通って0.2秒で心室まで伝わり心臓が拍動する。その回数は1分間で約70回。1回の拍動で約70ミリリットルの血液が排出されるので、1日に約7,000リットルを排出するポンプとして機能している。自律神経の影響を受けている臓器だが心臓移植をした場合は、この神経が切れた状態になる。それでも自動性・自律性を保って動き続ける。だが自律神経は切れてしまっているので、好きな人を目の前にしてもドキドキしなくなる。

心臓は規則正しく動いてくれればいい。ところが、時に「ギクッ」としたような感じがする不整脈を起こすことがある。これは電気信号の発生を待たずに期外収縮が起きるからで健康な人でも起こり得る。治療が必要であればプロプラノール、ジソピラミド、アミオダロンといった抗不整脈薬を使う。洞結節や心筋の炎症が原因のこともあり、心配ならば一度受診した方がよい。動脈硬化や老化が原因である場合は生活習慣の見直しが必要だ。

日暮れの時間が早くなった秋は、星の瞬きがきれいな季節。実は地球の自転軸の向きが長い年月をかけて変わっているため、時代によって北極星は変わる。約1万2千年後には北極星が現在のこぐま座のアルファ星から、こと座のベガ(織姫星)になっている。