『第756話』 【アンチ・ドーピング】来月、国際条約が発効

今年の本県のメーンイベントは、何といっても第62回国民体育大会「秋田わか杉国体」だ。2月10日に冬季大会が始まり、9月29日から本大会、10月13日からは第7回障害者スポーツ大会と続く。この間にも「デモンストレーションとしてのスポーツ行事」などが開催され、県内はスポーツ一色に染まることだろう。

今年、わが国のスポーツ界は大きく変わる。2月1日に、日本がその作成に積極的にかかわった「スポーツにおけるアンチ・ドーピングに関する国際条約」(アンチ・ドーピング条約)が発効されるからだ。発効の10日目に、記念すべき国民的スポーツの祭典が本県で開催されることになる。

アンチ・ドーピング条約は、2005年10月にパリで開催された第33回ユネスコ総会で採択された。このたび批准国が発効に必要な30カ国に達したことから、アンチ・ドーピングに関する国際的条約が誕生することになった。日本も批准する。

国内でドーピング問題が公式に話題となったのは、1964年の東京五輸の際に開催された世界スポーツ科学会議の席上。時を経てドーピング検査の公平性を確保するために、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が設立されたのが99年。日本は設立当初から常任理事国として貢献してきた。その2年後に日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が設立された。

OTC薬の成分を見ると、風邪薬や高額の栄養ドリンク剤を服用するとドーピングに引っ掛かる。葛根湯などのサイコ製剤といわれるものも駄目。配置薬の胃薬によく含まれるホミカにはストリキニーネが含まれるので、これもよくない。こうした禁止薬物をうっかり服用すると秋田わか杉国体で、初のドーピング陽性者となりかねない。ただし禁止薬物でも申請すれば、治療の目的で使える医薬品もある。

競技場以外でも、フェアプレーの精神が求められる時代となった。「健全な肉体には健全な精神が宿る」といわれる。条約が発効され、ドーピング撲滅に向けWADAを中心とした活動の推進、各国の取り組みの本格化が期待される今年は、それが証明される1年でありたい。