『第764話』 【花粉症対策】まず接触の回避が重要

花粉症対策の相談が多くなってきた。本県でも先月、スギ花粉の飛散が確認され、いよいよ花粉症の時季が到来した。今後の飛散はどうなるのか、気になる人は多いだろう。

花粉の計測の仕方にはダーラム法と自動計測法がある。ダーラム法は白色ワセリンを塗ったガラス製のプレパラートを野外に24時間置き、自然に落下してきた花粉をとらえ、顕微鏡を使い1平方センチメートル当たりの花粉数を数える。一方の自動計測法は大気を吸引し、レーザー光線を利用して計測する。両者のデータには違いがあり、長期間にわたる飛散量の変化をみる場合などは、どちらか一方の計測結果で比較する必要がある。

日本人の約16%が花粉症といわれるが花粉症は病名ではなく、花粉を原因とするアレルギー疾患の総称だ。症状は、目のしょぼしょぼ感やかゆみ、鼻水、鼻詰まり、くしゃみなど。こうした症状が、いらいら感も引き起こす。花粉症と思っていたら風邪だったということもあるので、すぐに花粉症と決めつけないようにしてほしい。

アレルギー反応は、感染症を起こす細菌などから体を防衛するシステムが、たまたま異常反応を起こしてしまうために起こる。花粉が原因となって、防御機構をつかさどる肥満細胞からヒスタミン、ロイコトリエンといったケミカルメディエーターが放出される。すると知覚神経が反応してくしゃみが出るし、分泌中枢が刺激されると鼻水が止まらなくなる。また、血管が浮腫を起こすと鼻詰まりになる。

症状が軽ければ抗ヒスタミン薬が入った点眼薬、点鼻薬で対症療法を行う。同時に抗アレルギー剤を内服することもある。鼻詰まりがひどいようならば、局所的に炎症を抑えるために副腎皮質ホルモンや血管を収縮させる薬が必要になる。根治的な治療となると、花粉から抽出した薄いエキスを長期間にわたり、少しずつ注射する減感作療法がある。

エキスを舌の下にとどめて吸収させる舌下免疫療法、ケミカルメディエーターの働きを妨げる薬を投与する方法など新たな治療法の開発も進められているが、まず重要なのは花粉に触れないこと。眼鏡やマスクを身に着け、衣服についた花粉はこまめに除去するようにし、帰宅したらうがい、洗顔をする。花粉症の人はさまざまな対策を施して、このつらい時季を乗り越えてもらいたい。