『第766話』 【医薬品】情報提供が効果に影響
本欄は平成3年6月から連載してきた。当時から本県の処方せん受け取り率は全国的にみてかなり高かったが、現在は75%で1位。県内のほとんどの患者は病院や診療所から処方せんを受け取り、薬局で薬をもらっていることになる。
昨年医療法が改正され、来月から薬局が医療提供施設となる。読者の中には薬局が医療提供施設でなかったことに驚く人もいるだろう。日本ではサリドマイド、ソリブジン、血液製剤によるエイズやC型肝炎の薬害問題が起きてきたが、それらを経験してきた現在も薬害を防ぎ切れていない。厚生労働省は健康被害救済制度を設け、重い副作用が発症したときは救済を図っている。
副作用を防ぐには医薬品の適正使用を啓発していくことが重要で、薬剤師には薬剤師法で情報提供を行うことが義務付けられている。医薬品は開発過程で得られた安全性、有効性、副作用などの情報を取りまとめ、それらの情報とともに倫理観を持って提供することで最大の効果を発揮する。また適正に使い、副作用などが現れていないかを常に確認する必要がある。重複や飲み合わせのチェックもしなくてはならない。
21年には医薬品に関する情報が、より確実に提供されるように薬事法が改正され、薬の成分ごとに必要な販売資格が変わる。しかし、薬局の機能自体が変わるわけではない。薬局は医薬品販売だけを目的としているのではなく、場合によっては受診するように勧奨する機能なども併せ持っていることを知っておいてほしい。
高度化する薬物治療を支えるために、薬学教育も6年間に延長された。解剖学、生理学、病態学を学んだ上で薬理学、臨床薬理学に進まないと薬を理解することはできない。読者にも薬を理解する素地をつくっていただくことを願い、本欄を執筆してきた。
薬の相談は、かかりつけの薬局のかかりつけ薬剤師にしていただくのが最も望ましい。匿名で相談したいときは、当センター(018-834-8931)に連絡していただければ、いつでもご相談に応じる。
15年10ヵ月、766話までお読みいただいた読者に厚くお礼を申し上げ、さらなる薬剤師の活用をお願いいたします。