『第768話』 テレビコマーシャルの刷り込み効果
人は、「これが効く!」と何度も言われると、理由もなく効いてるのかなと感じる「プラセボ効果」が生じてくる。「お薬手帳」も同様で、「これは大切なものなんですよ」と真剣にどこの薬局でも言われ、テレビコマーシャルや主治医からも伝えられると何となく持っていないと不安になるものだ。
メディア時代を迎えて、今では覚えきれないほどの商品名が出回り、その世界で当たり前でも違う世界では全く知られていない商品名も数多く存在する。あるMR(medical Representer)が話していた。会社が合併して、今まで門外漢だった造影剤のことを聞かれても全く分からないという。世の中そのようなものだ。ジェネリックだって、どこから付けたものやら?噴いてしまうような商品名もある。しかし、印象には残る。0から初めて認知度を得る為には、工夫と時間がかかる。
テレビコマーシャルの第1号は、1953年(昭和28年)日本テレビ開局第1日目に、精工舎(現:セイコー)が正午の時報のときに放送したものだ。1955年(昭和30年)に医薬品が登場する。「ゴホンときたら龍角散」は、秋田が発祥の和漢薬だ。1957年(昭和32年)「クシャミ3回、○○3錠」「パンパンパンのパンビタン」「ジンジン、ジンタン、ジンタカタッタター」1960年(昭和35年)「くりくり三角小さなドロップ」「飲まないかぜ薬」はいずれもヴィックスのもの。1963年(昭和38年)の「タケダ、タケダ、タケダ」などという会社名連呼のコマーシャルは選挙手法が原点か?「キンカン塗って~また塗って~」というのも頭中にこびりついている。翌年には、保積ぺぺの「おめえ、へそねぇじゃねぇか」(コルゲンコーワのTVCM)、「飲んでますか!」と三船敏郎が問いかけると、王貞治が「ファイトでいこう!」と答えていた。「パンシロンでパンパンパン」は、1968年(昭和43年)。1970年(昭和45年)には「かかったかな?と思ったら」というフレーズがあった。
コピーライターがワンフレーズのキャッチコピーで何千万というのも理解できない訳ではない。テレビを見なくなったためか?今どのような薬のコマーシャルが流れているか疎くなった。しかし、宣伝効果が確実なのが口コミ情報だ。しかし、あやふやな口コミ情報に頼るのではなく、正確な情報を薬局で入手していくことが重要だ。
これだけ商品名を挙げると、とても新聞には掲載できない。ボツ原稿だったことでしょう。少なくとも情報を集めるのはあなた自身、そしてそれを判断するのもご自分で、という時代になった。薬局はそのお手伝いをしています。