『薬の形・使い方など』(くすりのかたち・つかいかたなど)

薬は、体の目的の場所で最も効果を発揮させるとともに、服用しやすくするなど、様々な形に工夫がされています。ここに紹介している以外にもさまざまな種類があります。

『内服薬』(ないふくやく)

口から飲む薬です。
【錠剤】(じょうざい)
用量を個数で取ることができて便利です。糖衣などで服用しやすくしたものや中には胃で溶けず腸ではじめて溶けるように工夫されたものがあります。特別な指示のない限り、錠剤を飴のようにしゃぶったり、噛み砕いたりしてはいけません。錠剤を服用するときは、必ずコップ1杯程度の水か、ぬるま湯で服用してください。水やぬるま湯なしで服用すると食道や胃の粘膜をいためることがあります。
【その他の錠剤:水なしで服用できる薬】(そのほかのじょうざい:みずなしでふくようできるくすり)
舌下錠(ぜっかじょう):舌下部に挿入してゆっくり溶かし、舌の下の粘膜から薬を吸収させます。心臓の薬やホルモン剤などがあります。
チュアブル錠(ちゅあぶるじょう):噛みながら口の中で薬を溶かして用います。胃腸薬などがあります。
トローチ錠(とろーちじょう):口の中で少しずつ溶かします。口の中やのどの粘膜に直接作用させる薬が多く、噛まずに溶けきるまでなめて用います。使用後すぐの飲食物はさけてください。
【カプセル剤】(かぷせるざい)
錠剤と同様に用量を個数で取ることができて便利です。カプセルはゼラチンでできており、中に粉末状や顆粒状の薬などがはいっています。カプセルの中身を取り出して服用してはいけません。カプセル剤を服用するときは、必ずコップ1杯程度の水か、ぬるま湯で服用してください。水やぬるま湯なしで服用すると食道や胃の粘膜をいためることがあります。
【散剤】(さんざい)
粉末状の薬です。体に吸収されやすい長所があります。水か、ぬるま湯と一緒に服用しますが、口の中に少し水か、ぬるま湯を含んでおいてから服用すると、飛散せず、むせずに飲めます。
苦味の強いものは、オブラートに包むと良いでしょう。ただし、苦味の刺激によって効果を現わすものもあるので、医師または薬剤師にオブラートで包んで服用して良いか相談してください。
湿気を嫌うので保管に注意しましょう。
【顆粒剤】(かりゅうざい)
散剤より粒が大きく、においや苦味を抑えたり、徐々に溶けるように加工されたものです。噛みくだかずに水か、ぬるま湯と一緒に服用します。
【液剤・シロップ剤】(えきざい・しろっぷざい)
薬を水やシロップなどに溶かして服用しやすく液状にしたものです。計量カップ等で1回分を正確に計って服用します。中には成分の一部が沈殿しているものがありますので、軽く容器を振って均一な液にして服用してください。容器に直接口をつけたり、口をつけたスプーンなどを容器の中に入れないでください。唾液がついて変質したり腐敗することがあります。
【その他の液剤:水を準備する薬】(そのほかのえきざい:みずをじゅんびするくすり)
ドライシロップ(どらいしろっぷ):
小児用の抗生物質などにこの剤型が多く、そのまま服用するか、少量の水に溶かして服用します。
発泡錠(はっぽうじょう):
形は錠剤ですが、水に入れて発泡させ、液状にして服用します。かぜ薬などがあります。

『外用薬』(がいようやく)

体の外側に用いる薬です。
【軟膏・クリーム】(なんこう・くりーむ)
皮膚に塗る薬で、チューブ等に入っています。患部に直接塗って、直接作用します。
目的によって、吸収されやすいものと、吸収されないで塗った場所で長く作用するものがあります。軟膏やクリームを塗る前には、まず患部をきれいにし、清潔な手で薬を取り、患部に塗ります。ガーゼなどに塗って患部に貼ったりするものもあります。汚れた手で薬を取ると患部の汚染だけでなく、薬の品質も悪くします。使用後は、きちんとフタをしめて保存しましょう。
皮膚の薬を大別すると、殺菌消毒薬、かゆみ止め、抗炎症剤、化膿止め、保湿剤の5つのタイプに分けることができます。
【点眼薬】(てんがんやく)
目薬には、一般点眼薬(目の疲れ、かゆみ、結膜充血などを治す成分が含まれたもの、眼病予防)、抗菌性点眼薬(結膜炎、ものもらいなどの細菌感染の眼病を治す抗菌成分が含まれる)、人工涙液(目の疲れ、目のかわき、コンタクトレンズの装着不快感緩和)、その他(コンタクトレンズ装着液、洗眼薬)があります。
【点鼻薬】(てんびやく)
くしゃみ、鼻水、鼻詰まりに使用するものがあります。
噴霧式の点鼻薬は、よく振ってから噴霧してください。
緑内障、前立腺肥大症、高血圧症、妊婦、高齢者が鼻炎薬を使用する場合は、医師又は薬剤師に相談してください。子供には、子供用のものを綿棒に1~2滴含ませて鼻腔内を湿らせます。
【坐剤・膣剤】(ざざい・ちつざい)
体温で薬が溶け、粘膜から吸収されて効果が現れるようにしたもので、局所に作用するものと、全身に作用するものがあります。消化管を通らないので胃腸障害のおそれがなく、また、服用できないときに使用できる利点があります。
【貼付剤】(ちょうふざい)
患部を治療するためのものと、全身への作用を目的とするものがあります。皮膚を清潔にし、患部へ貼ります。しわが寄らないように貼りましょう。湿布薬などがあります。
【注射剤】(ちゅうしゃざい)
直接血中や体内に入るため、薬の効果が最もはやく現れます。 薬の有効成分が内服では、こわれやすく、また、吸収されない場合や比較的大量の投与が必要な場合に使用します。